台湾政府が「国家核心科学技術経済スパイ罪」を新設し、違反者を最大で懲役12年の刑に処する法改正を推進することに決めた。中国との間で繰り広げられている先端科学技術戦争に備え、半導体など自国の核心産業を守るためのものだ。
台湾中央通信社によると、台湾行政院は17日、こうした内容の国家安全法改正案を立法院(議会)に提出したとのことだ。同改正案は「国家核心科学技術」を「外国・中国大陸・香港・マカオ・海外の敵対勢力に流出させた場合、国の安全・産業競争力・経済発展に重大な損失をもたらす技術」と定義付けている。こうした技術を中国などが作った企業や団体、所属する人物に提供した者は5年以上12年以下の懲役刑、あるいは最大で1億台湾ドル(約4億1300万円)の罰金刑に処する。国家核心科学技術の具体的な範囲については、新設する国家科学技術委員会が定めることにした。
台湾行政院(内閣)の羅秉成報道官は同日の記者会見で、「一部の営業上の秘密や技術は私企業や個人の所有だが、国家核心技術になった場合は安全保障の観点から特別な保護が必要だ」と述べた。羅報道官は台湾に本社を置く世界最大の半導体ファウンドリ(生産受託会社)「TSMC」の2ナノメートル(nm、1ナノメートルは10億分の1メートル)の半導体量産技術を例に挙げた。
台湾政府は「台湾・大陸(中国)人民関係条例」改正案も提出した。台湾政府が支援したり、委託したりした国家核心科学技術分野に従事した個人や法人、団体に所属した人物が退職後3年以内に中国に行く場合、必ず政府の審査を受けさせるという内容だ。改正案が通過すれば、台湾の半導体関連人材が中国で就職するのは難しくなるものとみられる。
北京=パク・スチャン特派員