21世紀韓国の両班たちは法治を否定する

21世紀韓国の両班たちは法治を否定する

【新刊】キム・ウンヒ著『新両班社会』(思考の力刊)

 チョ・グクや尹美香(ユン・ミヒャン)の支持者らは、なぜ最後までファクトを認めないのだろうか。「彼らが譲歩できず妥協できない最後のとりでは、自分たちの道徳的優越性のため」だと著者は記した。道徳的優越性に統治の正当性を見いだしているからだ。米国シカゴ大学で人類学の博士号を取った著者は「運動家(1960年代生まれで80年代に大学へ通った50代の学生運動出身者。586運動圏)の語る正しい社会とは、道徳的に優れた人間たちによる統治、すなわち徳治を志向する両班(ヤンバン。朝鮮王朝時代の貴族階級)社会であって、法治に基盤を置いた近代的自由民主主義社会ではない」と語る。彼らの正義(儒教的徳治)と自由民主主義社会での正義(法治)は同音異義語だという主張だ。

 新両班社会において両班と君子は、民主化闘士や独立運動家など社会運動家だ。自分の仕事を熱心にやる、それ故に儒教的観点からは私利私欲を追求しているとされる人々は「小人のやから」だ。別名は「既得権積弊勢力」。身分は世襲される。「親日清算を強調する政権において、独立運動家の子孫に対する礼遇を強化するのは、道徳的に立派な君子の子孫を代々手厚く遇するべきだという両班意識の発露」だとつづる。韓国政府主導の「歴史の正しい記述」と「過去史清算」は、朝廷で歴史の記録権を独占してきた朝鮮王朝時代と似ている。左派・右派ではなく前近代と近代が対立している-という洞察は新鮮で、説明力にも優れている。264ページ、1万7000ウォン(約1640円)

ヤン・ジホ記者

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