韓国初の月周回衛星、8月1日に打ち上げ…成功すれば世界で7番目(下)

地球から156万キロまで到達後4カ月かけ重力で月周回軌道に

 今回の月周回衛星は韓国にとっては深宇宙への初めての打ち上げとなる。韓国の衛星技術は世界的なレベルに達しているが、これまで地球の低軌道(600キロ)や停止軌道(3万6000キロ)は突破できなかった。月は地球から38万3400キロ離れている。月に向かう軌道は太陽や月、地球の重力を利用するBLT(Ballistic Lunar Transfer、月軌道転移)方式を採用した。月に最短距離で向かうのではなく、地球から156万キロ離れた位置までいったん飛び、その後に月に向かうというもの。太陽と地球、月の重力を最大限利用し、燃料消費を最小限に抑えられる方式だ。韓国航空宇宙研究院月探査事業団のキム・デグァン団長は「ブーメランを遠くに飛ばし、自分の思い通り戻らせるということ」と説明した。

 今回の月周回衛星は打ち上げから4カ月飛行し、今年12月16日から徐々に速度を下げ楕円(だえん)軌道で月を5周し、高度100キロ地点の軌道到達を目指す。12月31日か来年1月1日ごろに目標とする軌道に到達する。その後来年1月には1カ月かけて試運転を行い、12月まで任務を遂行する。キム団長によると、ミッションを終えた後さらに運用できるかどうかは残った燃料に懸かっているという。

■月からBTSの歌を聞けるか

 月周回衛星は科学的な任務を遂行するため六つの機器を搭載するが、その中で月の永久影を撮影するNASAの高感度カメラ「シャドーカム」に最も大きな期待が集まっている。地球の自転軸は23.5度傾いているが、月は自転軸が直角になっているため、極地のクレーターには太陽光が永遠に到達しない永久影が生じる。永久影は世界的にも研究がほとんど行われていない未知の領域だ。マイナス200度以下の月で凍った水やメタン、アンモニアなどの物質に関する研究が期待されている。

 韓国の研究チームが開発した五つの高性能機器も搭載される。航空宇宙研究院の高解像度カメラ、天文研究院の偏光カメラ、地質資源研究院のガンマ線分光計、慶煕大学の磁場測定器、電子通信研究院(ETRI)の宇宙インターネット装備だ。航空宇宙研究院は高解像度カメラを使い、今回の月周回衛星の次に計画されている月着陸船の着陸候補地点を検討する予定だ。月表面の反射波を分析する偏光カメラは高エネルギー宇宙粒子による風化状態を把握することで月の進化を研究する。磁場測定器とガンマ線分光計は月の磁場やレアアースとなる元素を把握できる。

 電子通信研究院は月でも衛星とローバー(探査用ロボット)を連携させ、インターネットが可能かどうか実験する。歌や写真のデータを月周回衛星に積み、地球から指示を出して月からそのファイルを送る予定だ。電子通信研究院は「BTSが許可すればBTSの歌『ダイナマイト』を宇宙インターネットを使って月周回衛星から地球に転送する計画」と明らかにした。電子通信研究院の四季を撮影した写真も転送する予定だという。

ユ・ジハン記者

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