焦る韓国飲食店の社長たち「アルバイトの広告出しても応募者がいない」

フライドチキン店やカフェなどは求人難、アプリには「おいしい短期バイト」が満載

焦る韓国飲食店の社長たち「アルバイトの広告出しても応募者がいない」

 ソウル市広津区でビアホールを経営しているキム・ゲスンさん(59)は、コロナの期間中だった先月まで、必要に応じて1日3-4時間だけ働く短期バイトだけを募集していた。防疫措置に従って客足の増減が見られたためだ。しかし、4月4日から飲食店やカフェなどで「夜12時まで営業可能、団体は最大10人まで」と防疫レベルが緩和されるのを見て、長期にわたって働ける従業員8人を募集することにした。しかし、求人広告を出してから1週間が過ぎたものの、志願者は3人しか現れなかったという。ソウル市蘆原区でフライドチキン店を経営しているソンさん(33)も状況は変わらない。ソンさんも注文の増加に備えて定期的に勤務できる配達アルバイトの募集を考えている。しかし、応募者は一人も出てこなかったという。ソンさんは「時給も高く、勤務時間が決まっていないプラットフォーム業者にだけ人が集まっているようだ」という。

 最近、ソーシャルディスタンスの規制が緩和され、注文が増えるとの期待から、飲食店やカフェ、カラオケなどで働く従業員の採用を進める店舗が増えている。しかし、至る所で働き手が見つからず、時ならぬ「求人難」が生じている。コロナ禍でスマートフォンアプリなどを通じて希望する時間帯だけ短く働ける配達やお使いといったアルバイトなどが増え、「定期的に働く必要がなくなった」と考える若者が大幅に増えたためだ。アプリを使ったフリーランスという意味の、いわゆる「アプリランサー」が増えたのだ。また、コロナ禍により韓国を離れた外国人労働者がまだ戻っていないことなども、求人難を増加させる要因となっている。

 大学生のウォンさん(26)は2日、求人・求職アプリで「1日アルバイト」を探し出し、冷麺屋で食器洗いをした。8時間働いて8万ウォン(約8200円)を受け取った。ウォンさんは、時間を決めて定期的に働くアルバイトに代わって、アプリを通じて短い場合で1日、長くても2、3日の飲食店のサービングのような仕事を主に探している。ウォンさんは「日割りで精算してくれるため、お金を早く受け取ることができるし、試験期間や個人的なことがある場合は出勤しなくてもいいのでうれしい」と笑みを浮かべる。ソウル市松坡区に住むイさん(26)も、今年から出前プラットフォームで好きな時間だけ働くか、アプリで出会った2、3日の短期アルバイトに精を出している。「社長や他の従業員との関係を気にする必要がないため非常に楽」と話す。

 このような若者層が増えた影響で、短期アルバイト募集という広告も増えている。求人・求職サイトの「アルバ天国」によると、「3カ月以下」のアルバイトはコロナ以前の2019年はアルバイト広告全体の11.5%にすぎなかったものの、昨年は16%まで増えた。3-6カ月のアルバイトは同期間で27%から22.3%にまで減少した。檀国大学経済学部のキム・テギ教授は「所属感や持続性よりも、自律性や独立性を重視し、必要なときに必要な分だけ仕事をする若者層の特徴が反映されている」とし「アルバイト代を早く受け取ろうとするため、それほど経験を積むことができない仕事に集まるようになるという点で懸念される」と話す。

 コロナ禍により帰国した外国人労働者が韓国に帰ってこないことが求人難の原因、とする声も聞かれる。ソウル市西大門区で焼き肉屋とずし屋を営むキムさん(55)は「ソーシャルディスタンスの規制が緩和され、人手が必要となっているが、厨房(ちゅうぼう)で補助業務を行っていた中国人同胞などの外国人労働者がいない」とし「こうした仕事に就くという人が出てこない」と話す。忠清南道天安市のある人材派遣会社でチーム長を務めるイ・ヒョンヒさん(43)は「外国人が少なく、先月から広告をアップしてきたが、人が来ないため、広告手数料だけを支払い続けている状況」とし「不法滞在中の人でも採用しようとするが、一般の外国人と同様に給料を支払ってボーナスまで支給する条件でない限り、見つけることは難しい」と最近の求人事情に触れた。

カン・ダウン記者、パク・チョンフン記者、キム・フィウォン記者

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