【寄稿】韓国はなぜウクライナを支援すべきなのか(上)

 韓国の保守系野党・国民の力の朴振(パク・チン)議員が団長を務めた韓米政策協議代表団は先日ワシントンDCで米国の官僚や専門家などと意味のある対話を行った。CSIS(戦略国際問題研究所)が代表団を招待した席には元ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)関係者、元駐韓米国大使、元在韓米軍司令官らが出席し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領の外交政策に同意し支持する考えを伝えた。

 韓米政策協議代表団は訪米期間中、米国の耳目がどれほどウクライナ戦争に集中していたかを実感したはずだ。近く就任を控えた尹次期政権はこのような現実を考慮し、外交政策を調整し、文在寅(ムン・ジェイン)政権よりもはるかに果敢にウクライナを支援しなければならない。

 ロシアによるウクライナ侵攻について文在寅政権の当初の対応は生ぬるいものだった。国際関係に関する理論で「バックパッシング」という言葉があるが、これは脅威に対処する責任を他の当事者に転嫁することを意味する。韓国はウクライナ戦争が起こった直後は最も目につく「バックパッサー」だった。当時の韓国は米国を中心とするロシア制裁にも加わらなかった。ロシアとの経済関係を考慮したためだという。

 ウクライナ戦争が始まった直後、文大統領はロシアによる侵攻を非難することも、あるいはプーチン大統領を名指しすることもしなかった。その一方で文大統領は「ウクライナの主権、領土保全および独立は保障されるべきだ」「戦争ではなく対話と交渉で解決しなければならない」など消極的な内容しか語らなかった。

 何の理由もなく突然侵略されたウクライナと、6・25戦争当時、韓国を守るために世界が動いたことを無関係だと考えるとすればこれは問題だ。今回の韓国政府の対応はワシントンの政界関係者の間で話題になった。オーストラリアや日本など他の自由民主主義諸国に比べて韓国は信頼して頼れる国とは考えられないということだ。国際社会における韓国の立場が後退する懸念も出てくるだろう。文在寅政権は「北朝鮮を変えるにはロシアの支持を引き出す必要がある」との立場だが、これは北朝鮮が今年に入って弾道ミサイルを立て続けに発射したことで滑稽(こっけい)にみられるようになった。

 韓国がロシアに対する国際社会の制裁に参加するまでに4日かかった。独自の制裁は今も行っていない。韓国はその後SWIFT(国際銀行間通信協会)による制裁やロシアの銀行との金融取引中断に乗り出した。文在寅政権はロシアに対する金融制裁を発表した直後、米国に「外国直接製品規則(FDPR)の免除」を要請した。ロシア制裁に参加した各国は米国による輸出統制から免除されたが、韓国は動きが遅くFDPRの免除が受けられなかったからだ。

 要するに韓国はもっと前向きな態度を取らねばならないということだ。ロシアがウクライナで勝てば世界は独裁者たちがもっと大胆な行動を取る舞台に変わるだろう。韓国は侵略を抑制し自由主義の国際秩序を支持するために他の民主主義諸国と共に行動しなければならない。ウクライナをめぐる世界の動きに歩調を合わせることは、韓国が北朝鮮や中国の脅威に対抗する際に他国も動いてくれるよう投資することに他ならない。

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