トリプルパンチ食らう韓国経済…企業「最悪のシナリオを想定」(上)

 世界的なインフレによる衝撃が広がる中、4月の貿易収支が先月に続き、2カ月連続の赤字に陥る可能性が高まり、韓国経済に危機感が高まっている。インフレ、世界的な景気低迷、貿易収支悪化など「警告灯」が相次いで点灯する状況だ。サプライチェーンの混乱、原材料価格の上昇を誘発する衝撃の震源地は大半が海外であり、対応が難しいことも問題だ。米国の利上げ加速、上海封鎖などによる中国の景気減速、ウクライナ戦争による国際的な原油価格、食料価格の上昇などが一度に押し寄せている。

 世界経済の不安でドル高ウォン安が進み、輸入物価が上昇。インフレを加速させている。ウォン・ドル相場は3月初めに21カ月ぶりに1ドル=1200ウォンを割り込むウォン安となって以降、ウォン安状態が続いている。

 世界的な信用格付け会社ムーディーズは21日、韓国の主権格付けの見通しを最上位圏の「Aa2」に据え置きながらも、「コロナ以降上昇した債務水準が高齢化で長期化しかねない」と指摘した。

■非常ベルを鳴らす企業

 主要企業は緊急戦略会議を開くなど、緊迫した様子だ。電気自動車向けバッテリー業者の調達担当社員らはほぼ全員が海外出張中だ。原材料価格が上昇する危機の中で海外の素材メーカーを訪れ、供給元に安定化を図るためだ。

 主な大企業の最高経営責任者(CEO)は最悪の状況を前提にしたシナリオとシミュレーションを作成し、対応策づくりを進めている。20日に緊急社長団会議を開いた現代重工業グループの権五甲(クォン・オガプ)会長は「これからの危機はこれまで我々が経験した危機とは次元が異なる可能性がある。予測不能の不確定要素が登場し、それが一気に押し寄せれば本当に大変なことになる」と述べ、系列企業のCEOに危機感を持つよう強調した。現代重工業グループは最近、原材料価格の高騰が造船産業に与える影響などについて、神経を尖らせている。サムスン、現代自、LGなど他の大企業の経営陣も頻繁に緊急戦略会議を開いている。あるCEOは「外部の不確実要素に対し、影響を防ぐこれといった策がなく、被害の軽減に集中している」と話した。

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  • ▲21日午前、釜山港の神仙台埠頭ではコンテナの荷役作業が行われていた。韓国関税庁によると、4月1-20日の輸出額(通関ベース、速報値)は362億8500万ドルで、前年同期比16.9%増加した。輸入額は414億8400万ドルで25.5%増加した。その結果、貿易収支は51億9900万ドルの赤字だった。/聯合ニュース
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