■貿易収支が連続赤字、生産者物価は急騰
関税庁によると、今月1-20日の韓国の貿易収支は51億9900万ドルの赤字だった。1億1518億ドルの赤字だった先月に続き2カ月連続で貿易収支が赤字となる可能性が高まった。半導体、石油製品などを中心に輸出が前年同期比17%増えたが、サプライチェーンの混乱とロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格上昇で輸入が26%増え、赤字が拡大した。
原油などエネルギー価格の上昇が主導するインフレ圧力が徐々に高まっている。韓国銀行が集計した3月の生産者物価は前年同月比8.8%上昇した。前月比の上昇率は1.3%で3カ月連続の上昇となり、過去5年2カ月で最高を記録した。生産者物価は消費者物価を刺激することになる。3月の消費者物価上昇率は前年同月比4.1%を記録し、10年ぶりの高水準にまで上昇した。
ソウル大経済学科の李仁鎬(イ・インホ)教授は「インフレが深刻化すれば、コスト上昇に対処できない企業と低所得の消費者から危機に直面する。経済全般にインフレの悪影響が広がりかねない」と指摘した。
■利上げなど対応策が逆効果招くことも
韓国経済に差し迫った危機をもたらす物価上昇を抑えるため、韓国銀行が政策金利を攻撃的に引き上げることもまた悩ましい状況だ。2年前のコロナ拡大以降、景気減速を防ぐために低金利を維持してきた上、借金をしてまで投資を行うことがブームとなり、家計債務が1900兆ウォン(約196兆円)に迫る水準にまで膨らんでいるからだ。政策金利の引き上げで貸出金利が連鎖的に上昇すれば、金利負担が増え、困難に直面するローン利用者が増えかねない。
政策金利が上昇の兆しを見せていることで、無担保融資の金利は既に1年前(3.7%)に比べ1.6ポイント高い5.3%(2月現在)まで上昇している。KB金融持株金融研究所のアナリスト、イ・スンフン氏は「物価が上昇し、家計の資金事情が悪化しているのに、金利が上昇すれば、不良債権が広がるリスクがある」と指摘した。
金信永(キム・シンヨン)記者、辛殷珍(シン・ウンジン)記者、ユン・ジンホ記者