「ポケモンパンでトラウマ」 コンビニ店員を泣かせるモンスターカスタマー

倉庫をあさり、届いた商品を散らかすなどの「愚行」
コンビニ前で客同士がもめることも
SPC三立「物流供給に問題…生産設備は24時間稼働」

 「もう1カ月以上も戦争状態です。ポケモンパンがトラウマになりそうなほどです」

 今年2月末に再版されたSPC三立の「帰ってきたポケモンパン」が爆発的な人気で品切れ現象を引き起こす中、コンビニオーナーや店員らは、一部の「迷惑な客」のせいで業務に支障があると苦痛を訴えている。1日に何十回も押し掛けてきて、入荷や在庫の問い合わせで他の業務を滞らせる上に、店員に「ポケモンパンがない」と詰め寄ったり乱暴したりするケースも少なくないからだ。

 21日にSPC三立やコンビニ業界などが明らかにしたところによると、現在ポケモンパンは供給不足で小売店の発注制限がかかっている状態だ。このためコンビニ各店舗には、多くても1日に3個から5個程度しか供給されない状況になっている。大手スーパーでも1人当たりの購入制限を設けている。ポケモンパンは24年ぶりに再発売された後、パンに同封されているポケモンのキャラクターシールを集める消費者が増え、品切れ現象を引き起こしている。このシールは1個数千ウォン(1000ウォン=現在のレートで約103円。以下同じ)から数万ウォン(1万ウォン=約1032円)で中古品の取引が行われており、ポケモンパンを買うために入荷前から列を作って待つ「オープンラン」現象まで起きるありさまだ。

 需要はすさまじいが供給はとにかく足りないので、問題も起きている。コンビニのオーナーや店員に品切れに関して文句をつけたり、客同士でももめ事を起こしたりしている。これに伴うオーナーや店員のストレスも臨界に達している状態だ。

 ソウル市永登浦区でコンビニを営んでいるチョさん(54)は「一部の客のせいで、本当につらいときがある」とため息をついた。チョさんは「あるとき、製品は届いたが状態が良くないので返品処理しようと抜き取っておいたら、それを見た客が『なぜパンがあるのにないと言うのか』と倉庫をあさろうとするので、やめさせるのに苦労した」と語った。

 さらに「当時働いていた店員がショックを受けて、2日ほどポケモンパンの発注をしなかったこともあった」とチョさん。「この客は翌日、売り場に電話をかけてきて『本社に抗議する』と脅しもかけてきた」と首を振った。

 売り場の内外で繰り広げられる騒ぎもストレスの要因だ。ソウル市永登浦区の別のコンビニで働くパクさん(54)も「入り口の前で入荷を待っていた客が、誰が先に来ていたかを巡ってお互い声を荒らげるということはしばしばある」とし「売り場の内外で客同士のもめ事が起きたら気分が悪く、神経を使う」と語った。

 近くの別のコンビニの店員イさん(50)は「10代とおぼしき客5、6人がバイクや自転車に乗って集まり、物流トラックの後を追い回す」とし「物流トラックが着いて売り場の中に品物を降ろしたら、店員が確認する前に品物が入った箱をあさる…という事件が週に4、5回は起きる」「お客さんがかんかんに怒り、店員に『物流の箱をあさる人間には絶対にパンを売るな』と通知が出たこともある」と語った。

 ポケモンパンが入荷しているかどうかや入荷の時間を尋ねる問い合わせが多く、売り場の整理など他の業務に支障が出ていることも問題だ。あるコンビニの店員イさん(24)は「アルバイトをしている3時間、『パンは入荷したか』『いつ入ってくるのか』と尋ねてくる人だけでも20人を超えるので、他のお客さんの応対をしたり売り場を管理したりするのが難しいほど」と語った。

 業界では、ポケモンパンの物流が増えれば解決する問題だと口をそろえる。この日会ったコンビニオーナーや店員らは「今は入荷が1日当たり2、3個しかない」「物量が増えれば問題なくなる」と口をそろえた。コンビニ業界のある関係者も「ポケモンパンの物量を増やしてほしいという店舗オーナーらの意見がある」と語った。

 これに関してSPC三立側は、ホームページを通して「現在、ポケモンパンをできるだけ多く供給するため、関連の生産設備を24時間ずっと稼働させているにもかかわらず、製品の購入を望む全ての方へ円滑に供給する上で問題がある」とコメントした。

チェ・ヒョジョン記者、チョン・ヒョンジン記者

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