移動統制はコロナの感染拡大を防ぐことが目的だが、その影響で緊急の患者が治療を受けられず死亡するケースも相次いでいる。中国メディアの第一財経週刊(CBN Weekly)は26日、「中国がロシアと協力して開発してきた民間航空機CR929の副総設計士が上海市内の自宅で心筋梗塞で倒れたが、救急車がすぐ来なかったので24日に死亡した」と報じた。封鎖の影響で医療サービスを必要なときに利用できず、家族が死亡した一部の上海市民が当局への抗議を目的に、家族を失う過程を分単位で整理し、SNS(会員制交流サイト)にアップするケースもあった。中国当局は感染者がいたと推定される上海市内の一部マンションの出入り口に赤い鉄のフェンスを設置したが、これについては「事実上の監獄を作っている」との批判を受けている。
中国では2020年に湖北省武漢(人口1300万人)が26日にわたり封鎖されたが、それ以降は主に国境近くの都市でコロナ患者が確認されてきた。その後もオミクロン株の拡大で今年2月に中国第3の都市である広東省深セン(1700万人)が7日間封鎖され、また上海に続き北京でも封鎖の可能性が浮上したことで不安がさらに広がっている。
中国の南方都市報によると、北京首都国際空港や北京大興国際機場では出発便の80%がキャンセルとなった。上海浦東国際空港でも出発便の95%、上海虹橋国際空港では99%がキャンセルされた。現在、韓国から北京や上海に行く場合は全ての直行便が運航を中断しているため、一度他の都市に到着してからそこで21日間の隔離期間が必要となる。しかしその場合も国内線が予告無しに突然キャンセルとなり、影響で数日にわたり運航再開を待つしかないケースも珍しくない。ある企業の関係者は「国際都市として外国人を引きつけてきた魅力が今回の事態で光を失った」と述べた。
上海に続く北京での封鎖の懸念や米国の金利上昇を受け、最近は外国人による中国への投資が一気に海外に流れている。影響で中国人民元の価値が急落しているため、中国人民銀行は25日夜に外貨預金の支払準備率を来月15日に今の9%から8%へと1ポイント下げると発表した。これは市場にドルを供給することが目的で、中国メディアの財新は「支払準備率の引き下げは2007年以来のこと」と伝えた。前日5%以上下落した上海株式市場は26日にも1.44ポイント下がるなど今も下落が続いている。
北京=パク・スチャン特派員