先行利上げした韓国、ウォン防衛容易ではない

先行利上げした韓国、ウォン防衛容易ではない

 ウォン・ドル相場が2年1カ月ぶりに1ドル=1260ウォン台を付け、ウォン安傾向が目立つが、韓国の通貨防衛余力は十分とは言えないと指摘されている。

 一部からは年初来のウォンの下落幅が円、ユーロよりは小幅にとどまっているため、過度の心配は不要だとの指摘もある。危機の際の火消しに必要な外貨準備高も3月末現在で4578億ドルあり、不足しているわけではない。

【グラフ】韓国と米国の政策金利の推移

 しかし、ウォンは基軸通貨扱いされる円やユーロとは条件が異なり、専門家は安易な対応は禁物だと警告する。世界的に金融市場に恐怖が広まれば、国際的に通用するユーロや円とは異なり、ウォンは価値が急落しかねないからだ。

 欧州中央銀行(ECB)と日本銀行がこれまで「ゼロ金利」を維持しているのとは対照的に韓国銀行は先手で金利を引き上げており、追加的な利上げカードを切る余力が小さい。韓銀は昨年8月から今月まで4回にわたり、先行して利上げを行い、コロナ前の水準(1.25%)を超える1.5%まで政策金利を引き上げた。

 韓銀が今後、物価上昇抑制とウォン防衛のために追加利上げを行った場合、昨年末現在で1862兆ウォン(約189兆円)に達した家計債務の金利負担が大幅に増える。消費を冷え込ませる方向へと作用し、企業も資金調達コストが増え、投資を冷え込ませる。状況によっては、融資の焦げ付きが増え、金融市場全般に衝撃を与えかねない。延世大の成太胤(ソン・テユン)教授は「スタグフレーション(景気停滞下での物価上昇)」と金融市場の不安が重なる複合的な危機が訪れる可能性がある危険な状況だ」と述べた。

 そのため、本格的な「韓国売り」が表面化する前に韓米通貨スワップを復活させ、不安感を鎮めるべきだとする声が専門家から上がっている。コロナ流行以降、3回延長された600億ドル規模の韓米通貨スワップは昨年末に終了した。通貨スワップとは二国間で自国通貨をあらかじめ約束したレートで交換する仕組みだ。米国との通貨スワップ協定を締結すれば、危機に際してドル供給を円滑に受けることができるため、市場の安定に寄与する。

 新韓銀行のエコノミスト、ペク・ソンヒョン氏は「中国のコロナ封じ込め強化による影響が最近のウォン安に大きく作用したように、ウォンの価値は外部の不確定要素に弱い。短期的に韓国経済にプラスのニュースがないため、1300ウォンのラインまでウォン安が進む可能性もある」と分析した。

孫振碩(ソン・ジンソク)記者

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