【5月11日付社説】74年にわたる青瓦台時代の終焉、「帝王的大統領制」も終わるよう願う

【5月11日付社説】74年にわたる青瓦台時代の終焉、「帝王的大統領制」も終わるよう願う

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が就任し、74年ぶりに青瓦台(大統領府)が市民に全面開放された。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領も大統領選挙で執務室移転を約束していたが、いざ当選すると、警護や安保上などの理由を挙げて青瓦台から離れなかった。しかし、尹大統領は強い意志を見せ、1948年の政府樹立以来続いていた「青瓦台時代」をついに終わらせた。韓国現代史における重要なシーンの一つとして記憶されることだろう。

【写真】青瓦台、74年ぶり国民のもとへ

 青瓦台は、一般国民には立ち入ることのできない「帝王的大統領」の権力を象徴する場所として君臨してきた。かつての景福宮の後園であり、日本による植民地支配時代の総督府官邸や、米軍政期の司令官官邸などとして使われた青瓦台は、建設当初から外部と徹底的に断絶された空間だった。首都中心部に位置し、外から内部が見えるほど開放的な米国・英国・日本・フランスなどの大統領府・首相執務室とは全く違っていた。

 しかも、米ホワイトハウスの面積の3倍を超える25万平方メートルという広さで、大統領執務室がある本館と秘書たちが働く与民官の距離が500メートル以上あり、とても働く場所とは言えないほどだった。「九重宮闕(九重の天=身分の高い人がいる宮殿の奥)」という言葉はそれに由来する。元青瓦台秘書らは「大統領に対面報告をするには車に乗っても5分、歩いて行ったら10分かかった」と話す。本館・官邸・与民官・春秋館(記者室)は数百メートルずつ離れている。米大統領が扉を開けたらすぐにつながっている所から秘書陣を随時呼び集め、十分な討論を経て緊急懸案に対処しているのに比べると、青瓦台は大統領を王のようにあがめる旧時代の遺物も同然だった。

 尹大統領は10日午前0時、新たに移転したソウル市竜山区にある大統領執務室の国家危機管理センター状況室で、合同参謀本部から軍統帥権移譲に伴う初めての報告を受け、正式に大統領業務を開始した。竜山の大統領執務室庁舎は10階建ての建物に大統領執務室、秘書室、記者室がすべて入っており、懸案について随時報告・討論を行うことができる。メディアとも十分な意思疎通が可能な構造だ。

 しかし、執務室移転が尹大統領の歴史的決断として評価されるかどうかは、単なる場所の移転にとどまらず、韓国において「帝王的大統領」の時代がついに終わりを迎えるかにかかっている。尹大統領が権威を投げ打ち、内閣・野党・国民たちと同じ高さで意思疎通を続けるという約束を本当に実践するのか、ということだ。まだ始まったばかりだが、一部の長官人選や疑惑といった問題を処理するのに適切な意思疎通が図れているのか、という疑問も出ている。「青瓦台時代」を終わらせた大統領として責任を持って「帝王的大統領制」の弊害をなくしてくれるよう期待している。

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