渡河中のロシア軍を全滅させたのは…ウクライナの「ウーバー技術」だった

 ウクライナ軍がカーシェアリング会社ウーバーの顧客と車をつなぐ技術を使ってロシア軍の大軍を全滅させた。英国の日刊紙「タイムズ」が14日(現地時間)に報じた。

 報道によると、ウクライナ軍は今月8日に東部のシヴェルシキードネツ河を渡ろうとしたロシア軍に砲撃を加え、戦車や装甲車など70台以上を破壊し、大隊クラスに相当する1000人以上の兵力を全滅させた。今年2月末にロシア軍が侵攻を開始して以来、1日に1000人以上のロシア軍兵士が死亡するのは今回が初めてだ。タイムズは「ウクライナ軍による今回の攻撃はドンバス地域掌握を目指すロシアの野望に大きな打撃を加えた」と報じた。

 外信各社によると、今回の攻撃では「GPS Arta」と呼ばれるプログラムが決定的な役割を果たしたという。このプログラムは距離測定器や偵察用ドローン、スマートフォン、GPS(衛星測位システム)、北大西洋条約機構(NATO)のレーダーなどから得られた情報を総動員し、敵の位置を確認した上で周辺の野砲やミサイル、戦闘用ドローンなど各種の兵器の中で最も適切な攻撃手段を選択するものだ。タイムズは「通常は軍が目標を識別し、攻撃を開始するまで20分ほどかかるが、GPS Artaを使えばこれが1-2分で十分だ」「ターゲットさえ確認すれば、非常に迅速かつ効率的に集中砲撃を浴びせることができる」と説明した。

 GPS Artaがあれば兵器を一カ所に集める必要はなく、様々な位置に分散配備してあらゆる方向と距離から敵を攻撃できる。敵に対して一瞬で集中攻撃を加える一方、こちらの位置などは敵に把握されないため、被害も最小限に抑えられる。このプログラムを開発したウラジミール氏はタイムズとのインタビューで「この戦争でロシア軍が身を隠せる場所はない」「我々は彼らをどこでも、あるいはロシア国内においても探し出すことができる」と述べた。

 開発者たちが「砲兵隊のウーバー」と呼ぶGPS Artaはウクライナのプログラマーが複数の英国企業と協力して開発したもので、2014年のロシア軍によるクリミア半島併合直後からウクライナ陸軍が使用を始めた。ウクライナ軍を支援するウクライナのNPO「カムバック・アライブ」が開発に必要な資金を調達するなど、GPS Artaには頼もしい支援も行われている。カムバック・アライブはロシアによる侵攻が始まってから仮想通貨による寄付だけで1億ドル(約130億円)以上の募金を集めた。

 GPS Artaはイーロン・マスク氏率いるスペースXの衛星インターネット・サービス「スターリンク」を活用している。ロシアがウクライナを侵攻した直後、ウクライナのフョードロフ副首相兼デジタル転換相がマスク氏に支援を要請すると、マスク氏はスターリンクによるサービスを提供した。

チャン・ミンソク記者

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