【萬物相】K-POPの2つの顔

【萬物相】K-POPの2つの顔

 米ニューヨークの名門シェイファー音楽院を舞台にした映画『セッション』=原題『Whiplash』=はジャズドラマー誕生の過程を描いた作品だ。新入生アンドリューはドラムを習う際に教授に罵倒(ばとう)されたり、殴られたりする。しかし、恨むどころかトップになるために猛特訓する。練習時間が足りなくなると交際相手と絶交し、ドラムをたたきすぎて指が裂けて血まで出る。そんなアンドリューでも泣きながら行くであろう練習地獄がある。韓国のK-POP練習室だ。

 K-POP練習生は私生活から食事量、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)まですべて規制される。一日12時間ずつ、10年間練習しても95%以上がデビューステージに立てない。デビュー組に入ったら、その時からが本当の苦労だ。ステージに立つまで平均2年間共同生活を送り、自分の家にも帰れない。歌う機械に過ぎず、最小限の教養すらない場合もよくある。多くの海外メディアが韓国のアイドル育成システムを批判するのもこのためだ。

 男性アイドルグループBTS(防弾少年団)が14日、グループ活動の一時休止を宣言した。リーダーのRM(アールエム)は「K-POPアイドルシステムそのものが人を熟成(成長)させるまでそのまま置いておかない」と吐露した。BTSの活動休止宣言は、光と影がはっきりしたK-POPの現実を振り返らせる。BTSすら気力が尽きるほどK-POPの生存競争は厳しい。メンバーのほとんどが20代後半なので、これ以上兵役を先送りすることもできない。

 だが個人では十分でないスター性をグループで共に流す汗により克服するK-POPは、韓国エンターテインメント界の現実において最適なモデルでもある。男性アイドルグループはもちろん、BLACKPINK(ブラックピンク)のような女性アイドルグループでさえ激しく体を揺さぶって歌い、音程が揺らぐこともない。ダンスと動線を一つのフォーメーションとして完成させるまで、1曲当たり数カ月も汗を流す姿は外国人にとって驚異そのものだ。ピンクレディやX JAPAN(エックスジャパン)のような日本のアイドル・プロデュース・システムを模倣することから始まったK-POPが、このように日本を飛び越えて世界を攻略している。韓国語の歌の歌詞を英語で書いた「ドルミン正音(アイドル+訓民正音〈フンミンジョンウム=ハングル〉)」が動画共有サイト「ユーチューブ」に登場するなどと誰が想像しただろうか。もう国籍も超越している。K-POP女性アイドルグループNiziU(ニジュー)のメンバーは全員日本人で、日本で活動しているが、ステージに立った姿は紛れもなくK-POPアイドルだ。

 『Hard to Say I’m Sorry(素直になれなくて)』を歌った米国の男性10人組バンド「シカゴ」は1967年に結成され、ロバート・ラムら主軸メンバーは70代だが、今もステージに立つ。今年8年ぶりにニューアルバムもリリースした。体力を消耗するK-POPアイドルがあのような長寿グループになるのは難しいだろう。だがその代わりにメッセージ性がはっきりした歌詞や、歌以外で発揮する良い影響力はダンスよりも長く続くはずだ。BTSはこの9年間でその可能性を立証した。帰ってきたら大きな拍手で迎えられることだろう。

金泰勲(キム・テフン)論説委員

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