米議会上院、北朝鮮の人権改善を目指す「ワームビア法」を可決

住民への情報伝達戦略取りまとめを義務づける法律が米議会上院で可決

 北朝鮮による人権弾圧の責任者に制裁を加え、住民の自由な情報収集を可能にする戦略の取りまとめを定めた「ワームビア法」が米議会上院で可決された。2015年に北朝鮮旅行中に抑留され死亡した米国人大学生オットー・ワームビアさんの名前を冠する二つ目の法律だ。

 米議会上院が17日(現地時間)に明らかにしたところによると、上院外交委員会は共和党のロブ・ポートマン議員、民主党のシェロッド・ブラウン議員とクリス・クーンズ議員が1年前に提出した「オットー・ワームビア北朝鮮検閲監視法」を16日に満場一致で可決したという。ワームビアさんの死から5年(19日)を迎えるのを前に民主党と共和党が協力して成立させた。オハイオ州出身のワームビアさんは2016年1月、観光目的で訪問した北朝鮮で体制転覆容疑により15年の労働教化刑が宣告され、そのまま抑留された。その後17年6月に昏睡(こんすい)状態で釈放され帰国したが、6日後の19日に死亡した。

 この法律は米国の大統領に対し「北朝鮮における検閲および監視体制を改善させる戦略」「北朝鮮住民による自由な情報収集を可能にする戦略」を取りまとめることと、それらを法律の制定から180日以内に議会に報告することを義務づけるものだ。また北朝鮮で自由に情報を行き渡らせるため、米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」などを運営する米国グローバル・メディア局(USAGM)に今後5年で毎年1000万ドル(約14億円)の予算を投入することも定めている。さらに米国大統領が北朝鮮で人権弾圧を行う関係者を対象に、米国国内の資産凍結やビザと入国の制限などの制裁を加えるとする条項もある。

 この法案は今後下院で可決し、バイデン大統領が署名を行えば効力が発生する。ワシントンの複数の政界関係者は「この法案は下院でも民主・共和両党により圧倒的多数で成立する可能性が高い」と予想している。米議会上院は2019年、北朝鮮と取引を行う個人や金融機関に対するセカンダリー・ボイコット(第三者制裁)を強化する法律を成立させ、この法案にワームビアさんの名前を冠した。ワームビアさんの死から3年たった2020年には、ワームビアさんを追悼する決議が採択された。

ワシントン=イ・ミンソク特派員

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  • ▲2019年11月22日にソウル市内で開催された「北朝鮮拉致・抑留被害者共同記者会見」で記者団の質問に答える故オットー・ワームビアさんの両親。/オ・ジョンチャン記者

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