韓国独自技術ロケット、有事にICBMとしても活用可能…2030年無人月面探査目標

韓国独自技術ロケット、有事にICBMとしても活用可能…2030年無人月面探査目標

 韓国の国産宇宙ロケット「ヌリ号」が2度目の挑戦で、21日に打ち上げに成功した。ヌリ号は設計から製作、試験、認証、発射まで全過程を韓国の独自技術で行った宇宙ロケットだ。ヌリ号の打ち上げ成功で、韓国は衛星を自力で打ち上げられる世界で7番目の国になった。韓国も民間主導の新しい宇宙競争であるニュースペース時代に加わる足掛かりを築いた。

【写真】火炎を噴き出して上昇していくヌリ号

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は同日、大統領室庁舎の映像会議室でヌリ号発射成功を確認した直後、研究陣と行った画像通話で「今や大韓民国の地から宇宙に向かう道が開かれた。我が国の青年の夢と希望が宇宙に広がっていくだろう」と述べた。尹大統領は関係者の労苦を称え、政府として航空宇宙庁を設置し、航空宇宙産業を体系的に支援していく姿勢も表明した。尹大統領は画面を見ながら拍手をし、親指2本を立てるポーズも見せた。

 ヌリ号は前日の20日、発射台に据え付けられ、最終点検を受けた後、21日午後4時に宇宙へと打ち上げられた。打ち上げ4分30秒後までに1段目とフェアリング(衛星保護カバー)、2段目が順に分離された。午後4時14分36秒、性能検証衛星が切り離された。1回目の打ち上げで失敗した部分だ。その後、ダミー衛星も軌道に進入した。衛星は南極の世宗基地と大田地球局との最初の交信にも成功した。

 建国大航空宇宙情報システム工学科の李昌鎮(イ・チャンジン)教授は「今回の打ち上げ成功で、韓国は技術だけでなく、国際社会での宇宙外交能力を確保した」と評した。ヌリ号は急成長する宇宙ロケット市場を攻略する輸出商品にもなり得る。市場調査機関フォーチュン・ビジネス・インサイトによると、宇宙ロケットによる打ち上げサービス市場は2022年の142億1000万ドルから2029年には319億ドルに拡大する見通しだ。

■国防力強化の画期的転換点

 ヌリ号の成功は、韓国の国防力強化にも画期的な転換点になると期待される。他国に公開できない軍事衛星をいつでも韓国独自の力で打ち上げる道が開かれたからだ。

 現在、衛星打ち上げを代行をしている国・地域は、米国、ロシア、欧州、日本、中国、インドなどにすぎない。しかし、中国とインドに韓国の衛星打ち上げを任せることはできない。韓国の衛星には米国の技術が搭載されており、米国が宇宙技術の輸出を禁止した中国とインドでは打ち上げられないためだ。

 宇宙ロケット技術が大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術と本質的に同じである点も注目される。ヌリ号はICBMと推進方式、構造、段分離、誘導航法制御など大半の技術が共通している。打ち上げ後、地上から200キロの大気圏を抜けた後、目標軌道に進入して人工衛星を分離させるか、高度1000キロまで上昇を続け、地球の重力によって落下させて地上を攻撃するかの差があるだけだ。

 結局はロケットの先端に衛星を載せれば宇宙ロケット、弾頭を搭載すればミサイルと呼ばれる。ロシアの宇宙ロケットであるドニエプル、ロコットも核兵器を積んでいたICBMに衛星を搭載したものだ。北朝鮮も事実上のICBMを開発したが、打ち上げ実験で単純なものながら衛星を搭載したため、韓国より先に宇宙ロケットを開発した国に数えられた。

李永完(イ・ヨンワン)科学専門記者、ユ・ジハン記者

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