【独自】韓国の情報機関、「申栄福体」の院訓石を交換へ

 韓国の情報機関、国家情報院が故・申栄福(シン・ヨンボク)聖公会大学教授の書体で刻まれた院訓石の交換と、新しい院訓選定に向け内部で職員から意見の聞き取りを始めたことが21日までに分かった。情報当局の関係者は「国情院のOBや職員から『今の院訓石は国のアイデンティティーと衝突する』という指摘が出ている」とした上で「内部で意見を聞き取った上で近く交換するかどうか決めたい」と明らかにした。

 国家情報院の金奎顕(キム・ギュヒョン)院長は先月25日、非公開で行われた国会情報委員会による人事聴聞会の際、申教授の親北性向や利敵活動の前歴を問題視する複数の与党議員からの指摘に同意したという。今の院訓石は文在寅(ムン・ジェイン)前政権当時の昨年6月、国家情報院創設60周年に当時の朴智元(パク・チウォン)院長を中心に設置された。この院訓石には「国家と国民のための限りない忠誠と献身」と刻まれているが、この院訓石を近く撤去するということだ。

 国情院が院訓石交換の手続きに着手した背景には、申教授には生前スパイ容疑があり、その直筆文字で作られたいわゆる「オッケドンム(肩組)体」と呼ばれる書体の院訓石では「主に北朝鮮に対する情報活動を行う国情院の院訓書体として不適切」との指摘が相次いだからだ。申教授は1968年に北朝鮮と関係する地下組織による「統一革命党事件」に関与したとして20年にわたり刑務所で服役した。国家保安法違反により大法院(最高裁判所に相当)で無期懲役が宣告され、1988年に特別に仮釈放された。文前大統領らが普段から尊敬する思想家としても知られていた。

 そのため大統領職引き継ぎ委員会の時から「国の安全を心配する前職国家情報院職員の集まり」などが尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に複数回にわたり院訓石の交換を求め、市民団体も撤去を要求する集会やデモを行ってきた。市民団体「代案連帯」のミン・ギョンウ常任代表は「院訓石は国情院の役割・任務・念願を集約したものだが、その象徴が統一革命党関係者の文字で刻まれていることは国の根幹を揺るがす事態だ」と指摘した。国情院内部からも職員たちから「国家保安法違反で服役した人物が国情院のシンボルになるなど話にならない」「自己矛盾的な不条理劇」など反発の声が以前から強かったという。元国情院幹部は国情院内部のこのような雰囲気について「反乱が起こりそうなほどだ」と伝えている。

 新しい院訓の選定と院訓石の序幕は交換が決まってから検討する方針だという。この問題に詳しいある人物は「内部の声の集約にはさほど時間はかからないだろう」と予想しており、また新しい院訓については「情報機関の有能さと情報要員としての誇りを強調することが新しい院訓のコンセプトだ」と説明した。国情院の院訓はこれまで「陰地で働き陽地を志向する」「情報はすなわち国力だ」「自由と真理に向けた無名の献身」「声なき献身、ただ大韓民国守護の栄光のために」など何度も変更されてきた。

 さらに大統領室は文在寅前政権当時、警察を含む公共機関で幅広く使われてきたオッケドンム体もこれ以上使わない方向で検討している。また青瓦台(韓国大統領府)の各部屋に掛けられている申栄福の「春風秋霜」の額も撤去を求める声が出ている。

キム・ウンジュン記者

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  • ▲国家情報院庁舎前に設置された院訓石。この書体は故・申栄福(シン・ヨンボク)聖公会大学教授の手書きの文字から作られた「申栄福体」で「国家と国民のための限りない忠誠と献身」という院訓が刻まれている。/聯合ニュース

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