【コラム】韓日慰安婦合意は本当に「屈辱」だったか

決して意味は小さくなかった日本の責任認定
陣営の論理に巻き込まれて水泡に
5年間、被害者の恨ばかりが募った
尹錫悦政権はこれを反面教師にすべき

 来週のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議の舞台から、韓日関係の突破口を探るための外交的努力が始まる。展望は明るいだけではない。「未来志向」の意思は十分でも、現実的な過去史の壁はあまりにも高いからだ。強制徴用と共に過去史問題の一つの軸となっている慰安婦問題に関連して、最近公開された「外交部(省に相当)-尹美香(ユン・ミヒャン)面談」文書は、数年にわたって傾けられた努力が一瞬で水泡に帰する過程の一断面を見せてくれる。同じミスを繰り返さないためにも、何があったのか振り返ってみる必要がある。

 慰安婦問題で韓国政府が数十年にわたり日本政府に要求してきた核心は、「謝罪と責任認定、それに伴う賠償」だった。その水準についてはいろいろな意見があったが、最も重要なのは被害者が受け入れるかどうかだった。2015年の韓日慰安婦合意の交渉を行った当局者は、ばかではない。彼らは、合意後に被害者が反対したら自分たちが「売国奴」として追われるであろうことを誰よりもよく理解していた。だから合意前に10回以上も被害者側と接触し、意見交換を行ったのだ。当時、正義連の代表だった尹美香氏は「私を(被害者側の)窓口にしてほしい」と言ったという。

 韓国外交部の文書によると、合意発表前日に交渉団は尹氏に「安倍首相の直接謝罪・反省表明」「日本政府の予算10億円拠出」など、中心的な骨子を事前に伝えた。そのいずれも、被害者の「恨」(ハン。晴らせない無念の思い)を100%解くことはできないが、「日本政府の予算拠出+首相の謝罪」は日本の責任を明らかにするもので、その意味は小さくなかった。尹氏も前向きな反応を示したといわれている。交渉家らは「被害者の同意を得た」と考えただろう。

 ところが尹氏は、韓国側の措置、すなわち「日本大使館前少女像問題の解決の努力」「国際社会での非難・批判の自粛」「最終的・不可逆的解決の確認」と言う部分は聞かなかったという点を問題にしている。「政府が屈辱合意を隠した」と非難した。


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  • ▲尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員

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