韓国情報機関、「文在寅政権の国情院積弊清算」を監察へ…不当な人事や違法性など調査

金奎顕院長を中心に当時の違法行為について調査

 韓国の情報機関である国家情報院が1級部署長27人全員に待機命令を出し、厳しい内部監察を準備していることがわかった。ある韓国政府筋は「人的刷新を皮切りに、情報機関本来の役割と機能を正常化する改革作業に早期に取り組む計画」と伝えた。

 ある与党関係者が24日に明らかにしたところによると、国情院は先日、1級職員27人全員を職務から排除し、内部の研修機関である国家情報大学院に待機させる人事を行ったという。この与党関係者は「1級部署長らに対する一括待機命令は過去にも政権交代のたびに行われた」としながらも「監察室長(1級)が新たに任命されれば内部監察に着手し、それに伴う措置が行われるだろう」と説明した。国情院改革に強い意欲を示す金奎顕(キム・ギュヒョン)院長自ら監察業務を行うということだ。

 内部監察は文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の南北首脳会談と米朝首脳会談実現までの過程、政権発足直後に国情院に設置された「積弊清算タスクフォース(TF、作業部会)」による厳しい人的清算過程における違法性や不法性のチェックが重点的に行われるという。

 まず2018年4月27日に板門店で行われた南北首脳会談を含む3回の首脳会談、そして同年にシンガポール、19年にハノイで行われた米朝首脳会談実現までの過程全般に対する調査が第1次として行われる見通しだ。国情院の内部事情に詳しい与党関係者は「北朝鮮に提供された不適切な見返り、あるいは支援の約束があったかなどを綿密にチェックする予定」と伝えた。

 国情院とその周辺では「機密やセキュリティの維持が生命である国情院のメインサーバーを、捜査機関だけでなく民間人まで閲覧したことは必ず問題視すべきだ」との声が高まっている。外交・安全保障分野のある官僚OBは「国情院のメインサーバー内部を積弊清算タスクフォース所属だった親北性向の複数の人物が確認した」「再発防止のためにもこの問題は必ず正すべきだ」と指摘した。

 文在寅政府当時から「積弊」とレッテル貼りされ、不当な裁判や人事上の不利益を受けた人物の名誉回復も検討されている。李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)両政権当時の元国家情報院長4人と幹部40人以上が実刑を宣告され、一部は今も服役している。国情院の要員としてかつて海外で勤務していた元幹部は「過去5年間に国家情報院は焦土化されたと言っても過言ではない」とした上で「対北サイバー心理戦への対応や反国家団体幹部の動向を監視する活動、さらに前政権の裏金疑惑を追跡した職員らは全員が『積弊』として処罰された」と説明した。

 韓国政府の安保部処(省庁)関係者は「文在寅政府当時は院長と出身地が同じという理由で昇進を重ねる複数の人物が出るなど、国情院内で学閥や地縁がまん延したとの指摘が根強い」「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政府はこのような悪習が国情院内で二度と繰り返されてはならないという強い意志を持っている」と述べた。

キム・ミンソ記者

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