「北の船舶は確認もするな、拿捕もするな」…青瓦台安保室がマニュアルを作っていた

与党の安保紊乱実態調査タスクフォースが確認
北船舶を拿捕した合同参謀本部議長を青瓦台行政官が調査した後に作成
TF「青瓦台が北朝鮮関連事件に介入した証拠」

 文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の青瓦台(韓国大統領府)国家安全保障室が2019年9月、「NLL(北方限界線)を侵犯した北朝鮮船舶は拿捕(だほ)せず現場で直ちに送還せよ」とする内容の行動要領を作成し、関係機関などに伝えていたことが14日までに分かった。国家情報院が所管していた北朝鮮船舶関連マニュアルの制定・管理業務を青瓦台が行っていたのだ。当時東海でNLLを侵犯した北朝鮮船舶の拿捕を朴漢基(パク・ハンギ)韓国軍合同参謀議長が指示し、これを理由に朴議長が青瓦台民情秘書官室の行政官に呼ばれて調査を受けてから1カ月後にこの行動要領が作成された。

 韓国与党・国民の力「国家安保紊乱(びんらん)実態調査タスクフォース(TF、作業部会)」の団長を務める韓起鎬(ハン・ギホ)議員によると、青瓦台安保室は2019年9月「北朝鮮船舶・人員を管轄海域で発見した際の対応マニュアル」を作成した。北朝鮮漁船対応のコントロールタワーは以前から国家情報院が担当しており、国家情報院は「わが国の管轄海域における北朝鮮船舶・人員発見時の対応マニュアル」をすでに運用していたが、青瓦台がその内容を変更したのだ。

 韓議員によると、新しいマニュアルには「北朝鮮船舶が単純に進入しただけと確認すれば、退去あるいは現地で送還する」という内容もあるという。「合同調査の必要がある場合、あるいは脱北などの兆候がある場合は青瓦台国家安保室に状況を報告した上で対応する」という趣旨の項目もあったようだ。

 TFはこのマニュアルについて「亡命北朝鮮漁師の強制送還事件(2019年11月)や西海公務員殺害事件(2020年9月)の背後に青瓦台があったことを文書で証明する資料」と考えている。韓議員は「青瓦台が北朝鮮関連の事件に担当部処(省庁)の頭ごなしに介入したことを示す証拠だ」とした上で「北朝鮮船舶に事実上NLLへの無血入城の道を開いた」と指摘した。2017年に24件だった北朝鮮の有人船によるNLL侵犯は19年には392隻へと16倍も急増した。

 情報当局のある関係者は「マニュアル改正後、現場では亡命の『亡』の字が出てもそれ以上何もせず、その対応をただちに上に任せたと聞いている」「スパイ関連の容疑が疑われる場合も現場でしっかりと調査できなかったはずだ」とコメントした。韓国軍のある関係者によると、このマニュアルについては「北朝鮮船舶に対しては事実上何もするなということだ」と語られていたという。韓国軍では「亡命の意志があった船舶もこのマニュアルに従って北朝鮮に送還されたはずだ」などの見方も出ている。

梁昇植(ヤン・スンシク)記者

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  • ▲鄭義溶(チョン・ウイヨン)元青瓦台安保室長/聯合ニュース

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