【萬物相】MBTI性格診断

【萬物相】MBTI性格診断

 動画共有サイト「ユーチューブ」の人気動画の中に、韓国のトップ・プロゲーマー、FAKER(フェイカー)が「MBTIって何ですか?」という質問を受けるものがある。彼の顔には「またその質問か」と感じている様子がハッキリ出ている。彼は少しためらった後、「MBTIというのは性格タイプ診断です」と答えてニヤリとする。どれほど同じ質問を受けたことだろうか、と思った。

 MBTI性格診断が大きな人気を集めているのは、2020年のバラエティー番組で有名タレントたちがこの診断を受ける様子が放送されたのがきっかけだった。昨年末のある調査では、18-29歳の若者の90%以上がMBTI性格診断を行ったことがあると回答した。30代も75%、40代は53%、50代も40%近くが「経験がある」と答えた。最近ではMBTIを知らないと若い人たちとは話が通じないほどだ。国民の半分以上が診断してみた経験があるというのだから、血液型による性格診断を上回るブームと言えるだろう。

 MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)は外向型・内向型、感覚型・直観型、思考型・感情型、判断型・認知型などの指標に応じて性格を16種類に分類し、これを「INTJ」などのようにアルファベット4文字で表現したものだ。キャサリン・クック・ブリッグスとイザベル・ブリッグス・マイヤーズの母娘が1940年代にスイスの心理学者カール・グスタフ・ユングの理論に基づいて、当時の女性たちに合った職場を探すために作ったものだという。80年前に作られ始めた性格テストが遅まきながら韓国で大きな人気を集めているのだ。

 米CNNが「韓国のMZ世代(1980年-2000年代初め生まれ)はデートの相手を探すのにMBTIを積極的に活用している」と報じた。多くの韓国の若者が伝統的な方法で相手の人柄を知るのに時間を割くよりも、MBTIのタイプを見た上で、よく合う人を選んで付き合うということだ。デートだけでなく各種商品のマーケティングや採用・就職市場でもMBTIが使われているほどだ。雇用労働部の調査によると、企業の約3%が既にMBTIを採用に取り入れていると回答したとのことだ。

 しかし、MBTIは専門的な心理検査に比べて専門性が低く、一般化するには信頼度が劣るという。この診断を行ったブリッグスとマイヤーズの母娘は心理学専攻者ではない。続けて診断した場合、別の結果が出るケースもあり、一貫性がないとの批判もある。企業が採用にこの診断を利用すれば、求職者は企業が望むタイプが出るように反応するだろう。恋愛相手も同様の可能性がある。MBTIブームでも何でも、すべては「過ぎたるは及ばざるがごとし」だ。面白いという程度にとどまらず、重要な問題を決める基準とするほど過信すれば、判断を誤る恐れがある。

キム・ミンチョル論説委員

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【萬物相】MBTI性格診断

right

あわせて読みたい