【コラム】日本のユーチューバー議員が獲得した28万票

 7月に投開票が行われた日本の参議院選挙でユーチューバーの「ガーシー(東谷義和氏)」が少数政党のNHK党から比例代表で当選した。政党人気のおかげで簡単に当選した比例代表ではない。有権者からの完全な支持で当選した事例だ。日本は比例代表の際に政党名だけでなく比例代表候補の名前を直接記載して投票することも可能だが、投票用紙に彼の実名を書いた有権者は28万7000人以上いたのだ。得票数では参議院比例代表当選者(50人)の中で10位だった。開票の際にツイッターで最も話題になったトレンド1位は「ガーシー当選」だった。

 しかし8月3日に招集される臨時国会に彼は登院しないという。現在アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに滞在中の東谷議員は「警察が私を詐欺容疑で調べており、帰国すると逮捕される恐れがある」「安倍晋三・元首相の銃殺でより危険を感じるようになった」とコメントした。政治的信念に伴う危険性を言っているのではない。彼は知人の女性たちに「BTSに会えるようにする」と言って現金を受け取る単純詐欺を複数行った疑いもある。

 元々彼は27年にわたり芸能関係の仕事をしていた。芸能人の食事場所の予約をしたり、個人旅行のスケジュールを代わりに決めたりするといった仕事だ。男性芸能人に女性を紹介した疑惑もある。その後、詐欺容疑で警察から出頭を求められたため今年の初めドバイに逃亡し、金に困ると「ガーシーチャンネル、芸能界の裏側」という暴露系ユーチューブチャンネルを開設した。暴露特有の人気で購読者は100万人を超え、NHK党は彼を比例代表候補として迎え入れたが、NHK党の立花党首は「彼は一生日本には戻らないだろう」と述べている。今後6年間、毎年少なくとも2000万円の税金が国会に出席もしない国会議員に支払われる可能性もあるのだ。

 ある日本人の知人は「最初から帰ってこない方がよい」とした上で「不逮捕特権を悪用して国会の会期中だけ帰国し、閉会直前に出国するのはもっとばつが悪い」と指摘する。この知人は「東谷議員の28万票は政治不信のシンボルだ」とも語る。与党・自民党の一強に加え派閥政治による野合、さらに野党の立憲民主党はその受け皿となる政党になり得ていないからだ。そのため若い有権者たちはむしろ「暴露系ユーチューバー」が国会に登場し、政治家たちの是と非を暴露してほしいと考えているというのだ。

 このような日本の政治を「後進的」と人ごとのように笑えるだろうか。今年の大統領選挙で空中浮揚を断言した許京寧(ホ・ギョンヨン)候補は28万1400票を獲得した。彼は「私はサムスンのイ・ビョンチョル会長の養子だ」と主張したため、虚偽の宣伝を行ったとして捜査を受けている。韓国与党・国民の力と野党・共に民主党による政治不信の票も28万票に達したのではないか。経済危機の時代に生きる若い有権者たちに韓国の政治家たちはどのような希望のメッセージを示しているのか。

東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員

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