逃げる時間あったのに…死亡した看護師、最後まで患者を守った=利川ビル火災

 5日、京畿道利川市の4階建てのビルから火が出て、このビルの4階にあった腎臓の透析専門病院で治療を受けていた患者4人と看護師1人が亡くなった。また、同病院の患者など44人が煙で窒息するなどして重軽傷を負った。

 亡くなった患者4人は、自力ではうまく動けない高齢者だった。亡くなった看護師のヒョン・ウンギョンさん(50)は違っていた。ヒョンさんは年齢も若く、動きに不自由はなかったが、煙の立ち込めた現場から脱出できなかった。消防当局によると、ヒョンさんは透析中の患者の体から透析器を外すなど、一人では動くのが困難な患者を最後まで助けていて、病院から脱出できなかったという。病院関係者も「この病院でだけ長年働いてきた誠実な同僚だった」と涙を見せた。

 ヒョンさんは過去20年間、看護師として黙々と仕事をしつつ、夫と共に2人の子を育ててきた。普段から、自分がつらいときも表には出さず、他人を助けることに積極的だった-と遺族は伝えた。ヒョンさんは、火災が起きたこの病院でのみ15年働いてきたという。しかも、6日には自分の父親の80歳の誕生祝いが開かれることになっていて、久しぶりに家族が集まるということで期待が大きかったという。だが、その前日に災難に見舞われたのだ。

 チャン・ジェグ利川消防署長は「避難する時間は十分あった状況とみられ、死亡した看護師は最後まで患者のそば残っていて亡くなったものとみられる」と語った。

キム・グァンジン記者


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