遊び方もカネの使い方も知っている韓国45-64歳「A世代」…ブランド・EV市場の50%掌握

韓国高学歴・高所得の中高年層は何にお金使う?

遊び方もカネの使い方も知っている韓国45-64歳「A世代」…ブランド・EV市場の50%掌握

 現代自動車が昨年4-6月の2カ月間に出荷された電気自動車「アイオニック5(IONIQ 5)」の顧客データを分析したところ、意外な結果が出た。アイオニック5を購入した顧客は50代(31.1%)、40代(27.6%)、60代以上(20.6%)、30代(16.8%)、20代(3.8%)の順に多かった。当初、電気自動車は若い世代の専有物だと考えられていたが、実際に購入したのは40代以上が圧倒的に多かったからだ。自動車業界関係者は「環境を考える50代以上の顧客が『セカンドカー』として電気自動車を選ぶため、こうした現象が起こっている」と語った。

 これだけではない。購買力があり、学歴が高い4565世代(45-65歳)は新しい技術や文化をいち早く受け入れ、積極的に経験しようとする特徴がある。そのため、アイフォーン(iPhone)をはじめとする各種情報技術(IT)機器はもちろん、オーガニック食品やペット、美術品投資などさまざまな新事業創出の基盤となっている。

 外資系広告会社TBWAの「シニアラボ」と韓国リサーチが韓国国内の50代以上の消費者1752人をフォーカス・グループ・インタビューにより調査したところ、全消費者に比べて自身のことを経済的に余裕があると感じている人が多かった。回答者の月平均収入額は381万ウォン(約39万円)。40.7%が大学を卒業したと答えた。消費力があり、自分に自信がある新たな消費権力だということだ。

■新たな消費権力 A世代

 これらの世代が消費市場で強いパワーを誇っているのは、少子化の余波で年代別人口数において依然として最も多いうえ、保有資産額も若い世代の2-3倍に達するためだ。統計庁が昨年発表した「家計金融福祉調査」によると、韓国の50代以上の純資産(総資産から負債を差し引いた額)は30代の純資産の約3倍だという。人口学的に見ても、これらの人々は韓国で最も多い割合を占めている。50代以上は全人口の約40%に達する。

 さらに、彼らはその両親の世代とは違い、自分に投資することができる世代だ。事実、TBWAの調査でもフォーカス・グループ・インタビュー回答者の49.9%は「自分のための投資は惜しくない」と答えた。20-30代の51.5%が同じ回答をしたのと比べると、若い世代とほとんど差がなかった。

 ソウル市城東区聖水洞に住むユ・ジヨンさん(62)は自身について「親世代と違って、子よりも自分自身のことをまず考える」「上の世代の人たちが水道代も惜しんでお金をためてきたとしたら、私たちは遊ぶこともお金を使うことも覚えながら育った」「年を取っても自分のためにお金を使うことをもったいないとはあまり思わない方だ」と話している。

【グラフ】韓国大手デパート3社のVIP顧客年代別割合

■オーガニックから電気自動車まで、新産業を引き起こすA世代

 これらの世代は2007年にアイフォーンが発売されたころに社会人生活をスタートさせたため、インターネットやモバイル環境にもかなり慣れており、電気自動車や自動運転車、メタバースなど新たな技術的トレンドに敏感に反応する。高い購買力をもとに、この10年間に新たに誕生した新産業のテストベッド(実証基盤)の役割もしている。

 その代表的な分野がウェルビーイング・ブームとともに急成長した環境にやさしい産業・オーガニック産業だ。食品業界はウェルビーイング・ブームが始まった2000年代初めに30-40代の主婦だったA世代が、環境にやさしい食品やオーガニック食品の市場を主導していると考える。環境にやさしい食品・オーガニック食品を販売している「オアシス・マーケット」の関係者は「昨年10-12月期基準で45歳以上の顧客の割合は63%に達する」「この世代は環境と健康に対する関心が高い」と語った。

 最近ゴルフを始めた20-30代が多く訪れると言われているスクリーン・ゴルフも、実際の利用者はA世代だ。韓国1位のスクリーン・ゴルフ企業「ゴルフ・ゾーン」で昨年1年間にお金を使った割合が高い年代も50代以上(40.9%)が圧倒的1位だった。2位は40代(37.3%)、3位は30代(13.4%)だ。

 1兆ウォン(約1036億円)台市場に成長したペット業界やブランド品業界など多様な産業がA世代を基盤にして成長している。統計庁によると、ペットを飼っている人のうち、60代以上の割合は37.8%で、全年代の中で最も高いとのことだ。MZ世代(1980-2000年代生まれのM世代と1990-2000年代初め生まれのZ世代)をターゲットにしたブランド品オンライン市場でも、A世代の消費が目立った。高級オンライン・ショッピング・サイト「BALAAN(バラン)」によると、昨年下半期の決済額のうち45歳以上の割合は半分以上(53%)を占めたという。BALAANの関係者は「今年上半期の45歳以上の加入者数は昨年下半期より1.5倍増え、決済額も4.7倍増えた」と話している。

宋恵真(ソン・ヘジン)記者、ピョン・ヒウォン記者、イ・ミジ記者

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