名門大→大企業一択の「黄金チケット症候群」が韓国を駄目にしている

OECD「2022年韓国経済報告書」発表

名門大→大企業一択の「黄金チケット症候群」が韓国を駄目にしている

 名門大学入学や正社員での就職に「オールインする(すべてを賭ける)」韓国の状況を、経済協力開発機構(OECD)が「黄金チケット・シンドローム(golden ticket syndrome)」という表現で皮肉った。名門大学への執着が教育制度をねじ曲げさせ、正社員と非正社員に分かれている労働市場が若者の雇用や婚姻率・出産率を下げているということだ。

 OECDは19日、こうした内容の「2022年韓国経済報告書」を発表した。OECDは2年周期で各加盟国の経済動向や政策などを分析し、政策勧告を盛り込んだ報告書を発表している。

 OECDはこの報告書で、「韓国社会に『黄金チケット・シンドローム』がまん延している」と指摘した。名門大学進学や大企業・政府機関への就職など、低い確率の黄金チケットを手にするため個人があらゆる努力を傾けているということだ。OECDは、黄金チケット・シンドロームが韓国の教育・職業訓練全般をゆがめ、若者層の雇用率の低下や結婚・出産減少につながったと診断している。

 OECDは「若い頃の雇用は所得、年金、社会保障の面で生涯にわたり影響を与える」「大企業や政府機関に就職することに成功すれば得られる利益は非常に大きいが、そうでなければ利益が少なすぎるため、このような現象になった」としている。

 解決策としては、「正社員の保護を緩和する一方で、非正社員に対しては社会保険の適用を強化し、正社員と非正社員の間の壁を壊すべきだと」と提言した。また、大学修学能力試験(日本の大学入学共通テストに相当)のような試験の影響力を減らさなければ、若者雇用を増やすことができないとも書いている。起業教育を含むほかの成功ルートをたくさん作らなければ、正社員・名門大学志向も黄金チケットに対する執着も減らないということだ。

 OECDは「最低賃金の急激な引き上げが若者雇用の90%を担う中小企業の経営状況を悪化させる」として、今後は緩やかな幅で引き上げるよう注文した。また、「最低賃金は2017年から2019年まで約30%増加した後、2019年には中位賃金(賃金順に並べた時、中間に該当する賃金)の約63%に達した」「これは最低賃金を適用するOECD加盟国のうち比較的高い水準であり、このように急激な引き上げは中小企業の雇用において負担となっただろう」と述べた。

 一方、OECDは今年50%水準の国内総生産(GDP)に対する政府負債比率が2060年に140%を超えると見通した。ただし、国民年金受給開始年齢を2034年までに68歳に引き上げる年金改革などの構造改革を行えば、GDPに対する政府負債比率が2060年に約60%水準まで下がる可能性があるとしている。

キム・テジュン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 名門大→大企業一択の「黄金チケット症候群」が韓国を駄目にしている

right

あわせて読みたい