青瓦台では1件も金品不正はなかった? 文在寅前大統領の選択的記憶【記者手帳】

青瓦台では1件も金品不正はなかった? 文在寅前大統領の選択的記憶【記者手帳】

 文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は7月30日、フェイスブックに「熱心に仕事をし、変わろうとしたし、1件も金品に関連した不正腐敗がなかった当時の青瓦台の人々に感謝の気持ちを伝えたい」と書いた。しかし、文在寅政権の青瓦台を知る多くの人は戸惑いを隠せなかった。

 文在寅政権で青瓦台経済首席秘書官室に勤務したK行政官は、同郷の友人で総額1兆6000億ウォン(約1780億円)を超える被害を及ぼしたライム資産運用詐欺事件の中心人物、キム・ボンヒョン元スターモビリティー会長から約5000万ウォンの賄賂を受け取ったほか。ライムに関連する内部文書を不正に入手したとして、2021年に懲役3年を言い渡された。

 文在寅政権の民情秘書官室に勤務したL行政官は、約5000億ウォン台の被害を出したオプティマスファンド詐欺事件で懲役15年を言い渡された主犯の妻で、オプティマス関連企業の社外取締役を勤め、青瓦台では収賄疑惑で立件された。

 文前大統領の最側近だった宋仁培(ソン・インベ)青瓦台政務秘書官は、在野時代に2億9200万ウォンの違法な政治資金を受け取ったとして、20年に最高裁で懲役1年、執行猶予2年の刑が確定した。田炳憲(チョン・ビョンホン)青瓦台政務首席秘書官は国会議員時代、大企業から賄賂を受け取り、21年に懲役1年、執行猶予2年の刑が確定した。チョ・グク青瓦台民政首席秘書官は在職中に成績が良くない娘チョ・ミン氏が釜山大医学専門大学院受け取った600万ウォンの奨学金について、今年初めに一審で請託禁止法違反の有罪判決を受けた。

 文前大統領の「30年来の友人」を当選させるための青瓦台による蔚山市長選介入事件、「親文」実力者と親しい不正公務員に対する青瓦台の監察もみ消し事件など、文前大統領が言及した「金品」とは関連がないが、国の法治の根幹を傷つけた深刻な疑惑は依然裁判が進行中だ。

 ここまで来ると「1件も不正腐敗がなかった青瓦台」は文前大統領の「選択的記憶」の中だけで存在する仮想の青瓦台だと言える。文在寅政権は民主化以降初めて5年で政権を譲った政権として歴史に記録された。大統領選から1年が過ぎたが、文前大統領はまだ現実ではなく、信じたいことだけを信じ、見たい物だけを見ている。

パク・ククヒ記者

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