慰安婦の痛みを強調していた共に民主党、なぜウクライナの女性や児童から目を背けるのか【記者手帳】

 ロシアが2022年に違法な侵攻を行い、ウクライナの女性や児童は拉致・性搾取などで人権をじゅうりんされた。韓国は日帝強占期や6・25戦争を経る中で日本軍慰安婦、戦争孤児といった最悪の女性・児童人権じゅうりんに遭った被害国だ。いかなる国よりもこの問題に深く共感できる国が韓国だ。被害者を助けることで、韓国の歴史的傷を保護する効果もあるだろう。だが、平素は慰安婦問題や「人権」を強調していた進歩(革新)系最大野党の共に民主党は、この問題には沈黙し、「ロシアを刺激するな」と大統領を批判している。

 国会国防委・外交統一委・情報委に所属する民主党議員らは7月17日に記者会見を開き「『およそ70年前の大韓民国の状況』をあれほどつらいものにした国は北朝鮮と、北朝鮮に戦争をそそのかした旧ソ連」だとし「当時ソ連を構成していたウクライナは、韓国に痛みと傷跡を残した」と主張した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領のウクライナ訪問を批判しようと、侵略されたウクライナを「加害者」にすり替えたのだ。ウクライナは1919年2月、旧ソ連の赤軍にキーウを占領され、ソ連の一部に組み込まれた。同じ論理でいくなら、日帝に強制併合された韓国が日帝の侵略戦争において責任があるという主張も出かねない。ここで金宜謙(キム・ウィギョム)民主党議員は、同日の記者会見の後、「(尹大統領のウクライナ訪問は)祖国と民族の運命を『宮坪地下車道』に押し込む行為」と言った。水害の惨事まで政争に利用したのだ。

 民主党のこうした姿は、残念ながらおなじみのものだ。6月には民主党議員7人が、中国政府の開催したチベット観光文化国際博覧会に出席し、祝辞まで述べた。中国のチベット人権弾圧に付き添ったという批判に対し、出席者らは「(人権弾圧は)70年前のこと」だと言った。文在寅政権は、北朝鮮の顔色をうかがい、4年連続で国連の北朝鮮人権決議案の共同提案に加わらなかった。「進歩」を旗印とする168議席の巨大野党・民主党は、政治的に利益になり得るときだけ人権を語っているのではないか。民主党の選択的人権重視こそ革新すべき対象だ。

ヤン・ジホ記者

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