韓国土地住宅公社のマンション、鉄筋も調査も手抜き【記者手帳】

 大規模な鉄筋欠落問題に直面している韓国土地住宅公社(LH)による全数調査対象からマンション10団地が脱落していたことが判明した。マンションの地下駐車場の柱に鉄筋が欠落していただけでなく、手抜き工事の有無を確認するための調査までずさんだった格好だ。

【写真】鉄筋が入ってないマンションに設置されたジャッキサポート

 LHは9日、京畿道華城市飛鳳地区のA-3団地など団地10カ所で地下駐車場に無梁板構造が採用されていたが、先に実施した全数調査から脱落していたと発表した。LHは今年4月、仁川市黔丹のマンション地下駐車場崩壊事故を受け、無梁板構造を採用した全てのLHアパートに対する安全点検を実施すると表明していた。

 その後、団地を点検した結果、15カ所の地下駐車場で鉄筋が欠落していたとする調査結果を発表した。実際には団地101カ所が無梁板構造だったが、10カ所を調査しなかったことになる。脱落理由について、LH関係者は「緊急に調査を進めた結果、不十分な部分があったようだ」と話した。

 今回の全数調査は大規模な人身事故につながりかねない地下駐車場の崩壊が発端だった。事案の深刻さからみて、「急いでいて脱落した」という言い訳は常識的に理解できない。また、LHが全数調査に着手したのは5月3日だ。約3ヵ月間の調査期間中にも10カ所の調査漏れを確認できなかったことは、LHの組織文化がそれだけいい加減である傍証と言える。

 調査対象から漏れたマンション団地10カ所のうち3カ所3492戸はすでに入居が終わり、4カ所2534戸も工事が進行中だ。鉄筋欠落が発見されたわけではないが、LHアパートに入居したか入居予定の約6000世帯は安全診断結果が出るまで安心できないだろう。住宅弱者層が大半を占めるLH入居者の間では「安値で住宅を購入した代償として安全を担保に取られた」という自嘲的な反応が聞かれる

 LHの公共住宅を管轄する国土交通部の責任も避けがたい。元喜竜(ウォン・ヒリョン)国土交通部長官は「作業状況ボードさえまとめられないLHが存在する根拠はあるのか」と述べ、LHを厳しく叱責したという。しかし、LHによる全数調査の結果を国民に説明したのは長官本人だ。LHを管理・監督すべき国土交通部のトップがあたかも第三者かのようにLHのせいにすることは国民には「幽体離脱話法」と映る。

 国土交通部は無梁板構造が採用された民間マンション団地293カ所に対しても近く全数調査を実施する。住居棟の場合、無梁板と壁式が混合しており、崩壊の可能性はほとんどないが、政府が住居内部まで調査する方針を表明したことから、民間マンション入居者の間で無梁板構造に対する不安が高まっている。軽率な発表で国民の不安をあおるのではなく、国土交通部とLHが供給する公共住宅の安全性をしっかりチェックすることが先決だ。

申首志(シン・スジ)記者

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