韓国人が国内ではなく海外で財布を開くのはなぜなのか【11月11日付社説】

 物価高が続く中で韓国では消費が振るわない状況が続いている。消費動向を示す小売業の販売額指数は7-9月期にはマイナス2.7%を記録し、今年に入って3期連続のマイナスとなった。また大手デパートの売上も軒並み減少している。ところがこれとは対照的に海外での消費は急増している。今年に入って9月までの時点で海外に出国した人は1619万人以上を記録した。この期間の海外でのクレジットカード使用額は1年前に比べて44.7%も多い12兆ウォン(約1兆4000億円)に達し、昨年1年間の海外での使用額を上回った。国内で金を使わず海外で財布を開く傾向がこの数字からも読み取れる。

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 中でも歴史的な円安となっている日本に向かう韓国人観光客は今年に入って9月までの時点で延べ490万人近くを記録した。日本の外国人観光客の3人に1人(28%)が韓国人だそうだ。東京、大阪、札幌など日本の主要な観光地ではどこも韓国人の姿が大勢みられ、最近は「大韓民国東京市」とも言われるほどだ。海外旅行の急増で格安航空会社の7-9月期の売上は昨年の同じ時期に比べて85-125%急増した。大韓航空も仁川-小松路線、仁川-青森路線の定期便の運航を再開する。コロナ禍以前に就航していた日本の12都市全てで運航が再開されたのだ。

 このように国外での飲み食いやショッピングなど海外での消費は非常に活発だが、国内での消費は急速に縮小しており、このままでは経済成長率が1%台に落ち込む恐れも出てきた。韓国国内では外食費や宿泊料金、交通費などが大きく上昇し、済州島をはじめとする国内の主要な観光地はどこも大きな打撃を受けている。済州島でのサービス業生産指数は4-6月期のマイナス2.1%に続いて7-9月期もマイナス1.9%とマイナスが続いている。また済州島の小売売上高指数も4期連続でマイナスを記録した。7-9月に済州島を訪問した人の数も1年前に比べて4.8%減少した。

 韓国では国民の間に「割高な国内旅行よりも海外旅行の方が満足度が高い」という認識が広がっている。その結果、今年に入って9月までに貿易で稼いだ135億ドル(約2兆500億円)の69%が旅行収支の赤字で失われた。これとは対照的に日本では今年上半期だけで旅行収支の黒字が14兆円に達しているという。

 日本での観光客急増は円安の影響ももちろんあるが、それに加えて価格の割に食事やサービスなどの品質が非常に高いことも大きな要因だ。韓国のように割高な価格に品質が全くついていかないサービス業の現状が改善されない限り、国民は今後も顔を背け続けるだろう。政府、地方自治体、業界の全てが今一度気を引き締めねばならない。

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