いまだOECD平均には程遠い韓国の育児休業【寄稿】

 厳しい人口減少の危機に直面した今、最も急がれる少子化対策は何かと聞かれたら、真っ先に「仕事と家庭の両立を可能にする手厚い対策」を挙げるだろう。断言しておくが、働く親に対するまともな支援がなければ、韓国は少子化の危機を脱することはできない。

 子育ては少子化問題の核心だ。人口が増えていた産業化の時代には、子育ては全面的に女性の責任だった。それが可能だったのは、当時はワーキングマザーが少なかったからだ。しかし、20-30代の女性の就業率が70%に迫り、共働き世帯が5割を超えた今の韓国では不可能なことだ。個人に与えられた限られた時間の中で、代替関係にある仕事と育児を並行して行うためには、誰かが代わりに育児をするか、労働時間を減らして育児に専念するという方法しかない。解決策は単純だが、他人に育児を任せれば費用が掛かるし、仕事を減らせば所得が減少することになる。こうした機会費用が大きくなればなるほど、出生率(合計特殊出生率=1人の女性が生涯に産む子どもの推定数)は当然低下する。

 すでに知られているように、数十年前に同じ問題に直面していたスウェーデンやドイツなど欧州の先進諸国は、積極的に保育施設での子育て支援を増やすとともに、育児休業など仕事と育児の両立支援を拡大した。その結果、現在では女性の就業率は高く、出生率も韓国より高い水準をキープしている。韓国政府の政策が目指す方向も、手本にすべきこれらの国々と変わらない。代表的なものとして、保育施設での乳幼児の子育て支援は2012年から条件なしの無償保育に拡大された。また、育児休業制度は1987年に導入されたが、2001年からは雇用保険基金から育児休業給付金が支給されている。

 ところが、表面的には制度が整っているように見えるものの、他の先進国と比べると、2歳未満の乳幼児の保育園利用率(韓国56%、OECD〈経済協力開発機構〉平均35%)は非常に高いのに、出生児100人当たりの育児休業者数(韓国29人、OECD平均68人)は非常に低いというアンバランスな子育て環境が出来上がってしまった。保育施設での子育て支援を強化したとしても、親子が一緒に過ごす時間を増やすのはさまざまな意味で重要だ。これは子育て方法の選択肢が増えたこととは別に考える必要がある。特に、乳児期に形成される愛着関係は、子どもの情緒と社会的発達に影響を与える上、家族がより大きな幸せを感じられるようになるため親にもプラスの効果がある。これは明らかに、より健康的で生産的な社会を構築するための土台になるはずだ。

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲イラスト=UTOIMAGE

right

あわせて読みたい