超小型偵察衛星40基打ち上げ・EMP弾を開発…韓国国防部「2024-28年国防中期計画」

 韓国国防部(省に相当)は、超小型偵察衛星や迎撃ミサイルをはじめとする韓国型3軸体系強化などのため、来年からの5年間で国防費として349兆ウォン(現在のレートで約39兆円。以下同じ)を投入することとした。

【写真】長距離地対空誘導兵器(L-SAM)の弾道弾迎撃試験の様子

 国防部は12日、こうした内容を盛り込んだ「2024-28年国防中期計画」を発表した。この期間中の国防予算は計348兆7000億ウォン(約38兆5400億円)で、昨年発表された「2023-27国防中期計画」に比べて5%、17兆3000億ウォン(約1兆9100億円)増えた。5年間の年平均国防費増加率は7%だ。

 2024-28年の軍戦力増強のための防衛力改善費は113兆9000億ウォン(約12兆6000億円)で、5年間の平均増加率は11.3%。国防費は、今年の57兆ウォン(約6兆3000億円)から28年には80兆ウォン(約8兆8000億円)に増え、国防費に占める防衛力改善費の割合は、今年の30%から、28年には36%まで拡大される。

 国防部は、急速に高度化している北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対処するため、キルチェーン(Kill Chain)、韓国型ミサイル防衛(KAMD)、大量反撃報復(KMPR)という韓国型3軸体系の能力確保へ、最優先的に国防費を投入することとした。国防部の関係者は「北朝鮮の全地域にわたって挑発の兆候を早期に捕捉し、監視できる偵察衛星、有人・無人偵察機を確保し、キャッチした映像を速やかに融合・分析できる能力を確保したい」と語った。

 偵察衛星としては、最近1号機が打ち上げられた425事業で計5基の大型衛星が2025年までに打ち上げられ、さらに30年ごろまでにおよそ40基の超小型偵察衛星(重さ100キロ未満)が追加で打ち上げられる。超小型偵察衛星の大部分は、雲や悪天候でも北の核・ミサイル基地などを撮影できる、全天候型の映像レーダー(合成開口レーダー。SAR)を積む。超小型偵察衛星まで全て打ち上げれば、北朝鮮を30分単位で監視できるようになる。「韓国型リーパー」と呼ばれる国産中高度無人機(MUAV)も実戦配備される。

 国防部はまた2028年までに、北朝鮮の長射程砲坑道陣地などを貫通して破壊できる戦術地対地誘導兵器(KTSSM-I)、最大迎撃高度が5万―6万メートルという長距離地対空ミサイル(L-SAM)の戦力化を完了する計画だ。新型L-SAM II、改良型下層防御要撃ミサイルM-SAM III事業にも着手し、複合・多層ミサイル防御体系の構築も前倒しを決めた。「韓国型THAAD(高高度防衛ミサイル)」と呼ばれるL-SAM II事業は、既存のL-SAMの最大迎撃高度をおよそ10万メートルまで高め、防御範囲を3倍以上拡大し、韓国の大部分の地域に対する上層防御能力確保を可能にする。国防部は当初、これらの新型迎撃ミサイルを30年代までに開発することとしていたが、今回は目標時期を2年以上も繰り上げて28年とした。

 北朝鮮主要施設の電子装備や電力などを無力化する非核EMP弾(電磁パルス弾)・停電弾(炭素繊維弾)など、非殺傷戦略兵器も導入することとした。非核EMPは、強力な電磁波を放出して半径1キロ以内の敵の電子機器を無力化する先端兵器。停電弾は、北の電力施設をまひさせることができる兵器だ。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

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