本性を現した金正恩総書記、「太陽政策」は初めから幻想だった【1月1日付社説】

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は年末の朝鮮労働党全員会議で「大韓民国のものとはいつまでたっても統一は実現できない」「有事に核武力を動員し、南朝鮮全領土を平定する大事変の準備に拍車をかけよ」と指示した。同時に金総書記は「北南関係はもはや同族関係・同質関係ではなく、敵対的な2国間関係、交戦国関係だ」とも指摘し、南北関係の民族的特殊性をも否定した。

 金総書記が先代の首領らによる統一の遺訓「高麗連邦制」の破棄をも示唆し、韓国に対する核兵器攻撃にまで言及し脅迫する理由はさほど難しいものではない。これまで北朝鮮は「わが民族同士」と口にしながら、その一方で民族を全滅させる核兵器開発に没頭してきた。これはどう考えても矛盾だが、韓国の主体思想派をはじめとする左派、そしていわゆる進歩と呼ばれる勢力は「対米交渉のため」「民族の核」などと詭弁を並べ立てた。これをあざ笑うかのように金総書記はこれまで数年かけて続けてきた韓国攻撃用の戦術核開発を公開の場で指示し、核兵器を使った先制攻撃を法制化し憲法に明記した。これは「わが民族同士」の仮面を脱いだものと考えられよう。金総書記の今回の発言もこの点を改めて確認したものに過ぎない。

 金総書記は「『民主』を標榜しても、『保守』の仮面をかぶっても違いはなかった」とも述べ、歴代の韓国政府による全ての対北朝鮮政策や統一政策全てを「我々(北朝鮮)を崩壊させる凶悪な野望」と批判した。これは太陽政策に対する事実上の死亡宣告だ。「北朝鮮に善意を施せば核兵器を捨て改革・開放に向かうだろう」といういわゆる「太陽政策」の仮説そのものが童話にしか出てこない純真無垢な発想だった。国の統一大系をこの種の寓話から見いだすことなどあり得るだろうか。こんな考えを持つ人間たちが「同じ民族に核兵器を使うはずがない」という妄想に捕らわれ、北朝鮮に何でも与えることに没頭した。前政権に至っては存在もしない金総書記の「非核化の意志」を北朝鮮に代わって宣伝し、全世界をだまし、米国のトランプ前大統領に対しては自ら保証するとまで言い出した。その結果が米本土をも攻撃可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)と韓国を灰燼と化す戦術核兵器の完成だった。

 対北朝鮮政策と統一政策は北朝鮮の実体を冷徹に把握することから始めねばならない。北朝鮮政権の唯一の関心は金氏王朝の永続化であり、それには住民に対する極度の監視・統制・抑圧は欠かせない。外部の脅威を常に誇張・強調することも内部結束の大義名分とするためだ。北朝鮮が宥和政策を口にする理由は、厳しい制裁による困難な状況から息を吹き返すためか、あるいは核武力高度化に向けた時間を稼ぐための偽装平和攻勢でしかない。しかしこんな北朝鮮であっても交渉をしないわけにはいかない。ただしそれは「南北ショー」や「涙のショー」といったテレビ用のイベントではなく、金総書記に対して「核兵器に固執すれば死に、核兵器を捨てれば生きられる」という条件を設定する交渉でなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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  • ▲朝鮮労働党中央委員会全員会議で発言する北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記。28日撮影。/朝鮮中央テレビ、NEWSIS

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