現代自動車の重慶工場売却、競争力を失った韓国製造業の憂鬱【1月18日付社説】

 現代自動車が1兆ウォン(約1100億円)を投じて建設した中国重慶工場が3000億ウォン(約330億円)で重慶市所有のデベロッパーに売却された。この工場は現代自にとって5番目の中国工場で2017年に完成したが、その後は販売不振が続き21年末に生産を中止した。現代自は21年には北京第1工場も売却している。現在売却に向け交渉中の滄州工場も売却に至れば、現代自の中国工場はこれまでの5カ所から2カ所となる。中国でその存在感が低下している韓国製造業の現状を示す事態と言えるだろう。

 現代自は一時中国市場で100万台以上を販売し、一時はそのシェアが7%にまで上昇したが、今は1%ほどにまで落ち込んでいる。2017年に在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)問題が表面化した影響で中国で韓国製品の不買運動が広がった影響も確かにあるが、より根本的な問題はそもそも中国国民が背を向けたことにある。

 中国でのシェアが一時20%を記録し1位となったサムスンのスマートフォンはその後中国製品に押され現在そのシェアは0%台だ。Kビューティーとして脚光を浴びた韓国製化粧品も中低価格ブランドはほぼ撤退し、高級品の市場ではブランド力が強いフランスや日本の化粧品に押されている。これをTHAAD問題や限韓令など政治の影響と断定すれば現実を読み誤るだろう。2010年代中盤から中国製品の品質もブランド力も一気に改善され、韓国製品との競合が激しくなったことが本質にある。

 中国企業は中国国民の愛国消費により国内市場で競争力を高め、今や韓国市場はもちろん世界市場にまでその版図を広げている。昨年中国は日本を抑え世界1位の自動車輸出国となった。韓国製化粧品は中国市場で存在感が低下しているが、その一方で中国製化粧品の輸入は急増している。アリエクスプレスなど中国の海外向け通販サイトも韓国市場に攻撃的に進出しており、これを通じて中国の消費財が韓国に流れ込んでいる。ハイテク技術や高級ブランド品などで格差を維持できず、中途半端な立ち位置にとどまっていると、韓国製品は今後中国どころか世界市場でさらに存在感を失ってしまうだろう。

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  • ▲2017年7月に北京現代重慶工場で執り行われた「重慶工場生産記念式典」で生産ラインを視察する鄭義宣(チョン・ウィソン)現代自副会長(当時、中央)と重慶市の関係者/現代自動車

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