韓国高学歴の娘が父に問う「なぜ蔚山で暮らさないといけないの?」

韓国高学歴の娘が父に問う「なぜ蔚山で暮らさないといけないの?」

【新刊】ヤン・スンフン著『蔚山ディストピア』(ブーキー刊)

 「父たちが血と汗を流して働いたお金で勉強を終えた娘たちが尋ねる。『なぜ蔚山で暮らさないといけないの?』。この質問に、蔚山は答えることができない」。慶南大学社会学科教授の著者は、若い高学歴の女性たちが蔚山を離れる理由として「産業家父長制」を挙げる。これは、特定産業が支配している地域において不均等な性別分業構造がつくり出す家父長制を意味する。

 造船・自動車・石油化学という蔚山の3大産業は、女性を採用段階から排除している。女性に許容される、どうにかまともな働き口は、療養保護士や看護助務士、オリニチプ(民間保育施設)の保育士など、最低賃金もしくはそれよりわずかに上の水準の賃金しかもらえない「ピンクカラー・ジョブ」だ。女性たちは蔚山を離れ、彼女たちを追って青年男性もまた共に蔚山を離れていく。

 ジェンダー問題などさままざまなレンズを通して、産業都市・蔚山の持続可能性を問う一冊。「労働階級中産層」という夢を可能にしたこの製造業都市の衰退は、すなわち成長動力を失った韓国の未来である-と読める。432ページ、1万9800ウォン(約2220円)。

クァク・アラム記者

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