日本カント協会の会長を務める牧野教授は、安重根の「東洋平和論」とカントの「永久平和論」の関係に注目した。牧野教授によると、二人は▲武力によって真の平和を実現することは不可能なことを見抜き、▲平和の実現のためには、国家が道徳的な人間を育成しなければならないと考え、▲平和の実現が難しいということを自覚しつつも、人間が強い意志を持って着実に努力することが必要だと信じていた-という。  李泰鎮(イ・テジン)ソウル大名誉教授は、牧野教授の主張を土台として、安重根がカントから影響を受けた可能性について追跡した。カントの永久平和論は、清の知識人・梁啓超の『飲氷室文集』により、韓国の知識人社会に紹介され、安重根がフランス語を学んだウィルヘルム神父に詳しい内容を尋ねた可能性が高いとされる。李教授は、安重根の東洋平和論は1919年の己未独立宣言書や大韓民国臨時政府政綱にも反映されており、光復(日本の植民地支配からの解放)後に制定された大韓民国制憲憲法にも、「恒久的な国際平和の維持に努力」という文言の中に盛り込まれる形で受け継がれている、と主張した。  張錫興(チャン・ソクフン)国民大教授は、「安重根が構想した東洋平和論は、西洋の侵略に対し、東洋平和を維持しようとするなら、韓国と中国、日本の3国がそれぞれ独立する中で団結しなければならない、ということだ」と紹介した。さらに張教授は、安重根の東洋平和論について、「当時、東洋を侵略していた西洋帝国主義に対抗し、独立と平和を守るものだが、西洋そのものを排斥したり、否定するものではなかった、という事実に注目しなければならない」と強調した。  宋成有・北京大教授は、「ここ10年、中国では安重根義士に対する研究と称揚が絶えず行われている」と述べ、安重根に関する中国側の活動内容を紹介した。宋教授によると、安重根をテーマに取り上げた国際学術会議が最近北京と大連で行われ、ハルビン義挙を扱った短編小説や学術書の出版も相次いでいるという。宋教授は、最近、日本の右翼団体が歴史を歪曲し、侵略を美化する雰囲気にあることも、日帝と対決した安重根が再び浮き彫りになることに影響を及ぼしている、と説明した。

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