中国が「抗日戦争勝利70周年」を記念して3日に北京で実施した大規模軍事パレードについて、米国の専門家の大半は「対外アピールと正統性確保のための時代錯誤的な式典」との反応を示した。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の出席については「理解する」という意見と「行くべきではなかった」という意見が入り交じっている。

 米戦略国際問題研究所(CSIS)の韓国専門家ビクター・チャ氏は「中国は『威張り散らし(swaggering)戦略』の一つとして今回の軍事パレードを活用した。華やかな式典をすることにより軍事的威容をアピールし、潜在的な敵国に心理的威圧感を与える一方、習近平国家主席の正統性確保のためのメッセージも盛り込んだ」と語った。特に、経済の悪化により中国の足元が揺らいでいる状況に対し、何とかしようと必死にもがいていることが分かるとの説明だった。米外交問題評議会(CFR)のスコット・スナイダー主任研究員は「習近平政権が時代錯誤的で権威主義的な政権だというイメージは、今回の軍事パレードで確固たるものとなった。冷戦時代が再び始まったのではないかという気がしたほどだった」と述べた。ブルッキングス研究所のリチャード・ブッシュ上席研究員は「終戦70周年にあたり兵力を削減するという平和メッセージに、米国まで攻撃できる新兵器のアピールが似合うものだろうか」と、習国家主席の「兵力30万人削減」発表と軍事パレードは矛盾していると指摘した。

 米政府は軍事パレードそのものに対し冷ややかだった。国防総省のピーター・クック報道官は「米軍は世界最強の軍隊で、これを疑う人もいない。我々の能力がどれだけのものかということは軍事パレードであえて見せる必要はない」と言った。

 朴大統領の軍事パレード観覧について、ビクター・チャ氏は「朴大統領は中国に対し、北朝鮮問題に関連して継続的で一貫した戦略を駆使している。北朝鮮に対する中国の影響力を活用するという考えと合わせて、中朝関係を弱体化させようと考えが込められている」と説明した。その上で、「長期的な戦略により中国に応対する一方で、軍事パレードを通じて(韓国を前面に押し出して)日本たたきをしようとしてきた中国の意図に加担していない点は評価に値する」と言った。スティムソン・センターのアラン・ロンバーグ研究員も「朴大統領は今回の式典で、中国と一緒になって日本を批判することを慎重に避けた。一部では韓米同盟に亀裂をもたらしたと批判されているが、同意できない」と語った。

 一方、保守系のヘリテージ財団ブルース・クリングナー上席研究員は「韓国を一番最近侵攻した国であり、韓半島(朝鮮半島)分断に責任があり、覇権を追い求めている国の軍事パレードを朴大統領が見学したのは、同大統領の平和と安定や南北統一を目指す政策と一致しない」と語った。エバンス・リビア元首席米国務次官補代理(東アジア・太平洋担当)も「朴大統領の軍事パレード観覧が中国の対北朝鮮戦略を変えられるかは不透明だ」と評した。中国は表向きは韓国にいろいろと配慮しているように見せているが、北朝鮮との関係が根本から変わることはなく、「実際の状況」に至れば北朝鮮側に付かざるを得ないと指摘しているのだ。

 日本の専門家らは、朴大統領の訪中成果に対する評価を保留した。朴大統領が10月の訪米時に何を語るのか、韓中日首脳会談が予定通り行われるのかを見守るべきだということだ。慶応大学の西野純也教授は「歴史問題とは別個に安全保障問題や経済問題を管理すべきだという流れが昨年秋以降、韓日間に生じ始めているので、このままでいいだろう。ただし、日本国内に韓国を警戒する声があることは、韓国も知っていなければならない。今後、韓中日首脳会談が開かれる際、韓国と中国が組んで日本と対立する『2対1の構図』が形成されないよう配慮する必要がある」と語った。

 新潟県立大学の浅羽祐樹教授は「朴大統領と習国家主席、プーチン露大統領が一緒に写っている1枚の写真は、日本社会に『韓国はもはや韓米日の1つの軸ではない。中国寄りなのは確実だ』というイメージをもたらしている。朴大統領は『北朝鮮のために、経済のために不可避だった』として外交的冒険を敢行したが、それに見合うだけの利益があったかどうかは冷静に考えるべきだ。朴大統領は今後『安保については韓米日共助が確実だ』ということを示さなければならない」と述べた。

ホーム TOP