ソウル・江南地区の一部マンションで価格が急騰し、不動産バブルに対する懸念が高まっている。江南地区の再開発マンション価格が過去最高の好況期を超え、1坪(3.3平方メートル)当たり5000万ウォンまで上昇している。しかし、生産年齢人口の減少、100%を超える住宅補給率、高い青年失業率をかんがえるんと、現在の住宅価格急騰は一時的な現象だとする反論もある。一部には韓国も高齢化の影響で日本のように不動産価格が長期的に暴落しかねないという「不動産崩壊論」を唱える向きもある。

 しかし、住宅価格が問題になっているのは韓国だけではない。世界の主要都市で「住宅価格は狂っている」という悲鳴が上がっている。2008年のリーマンショックを前後し、欧米で不動産価格の暴落、金融危機が起き、空き物件が続出した際には住宅相場の回復は遠い先とみられていた。しかし、いつの間にか「新資産バブル時代」を迎えている。

 住宅価格暴落で金融システムが崩壊し、国際通貨基金(IMF)に金融支援を求めたアイルランドでは、首都ダブリンの住宅価格がピークだった2006年の水準を既に回復した。スウェーデンのストックホルムでは住宅価格が昨年だけで16%上昇し、英ロンドンに匹敵する水準となった。住宅価格暴落で住宅の担保価値が低下し、1400万人が持ち家から追い出される危機に直面した米国ですら、バブルを懸念する声が上がっている。サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルスなど主要都市ではローンを組んで住宅を購入する人が相次いでいる。50万戸まで減少した年間住宅着工戸数は120万戸まで増えた。中国人による住宅投資ブームで住宅価格が30%上昇したカナダ・バンクーバーでは市民の不満が爆発し、外国人の住宅購入に不動産取得税を15%加重課税する緊急対策を発表した。

 景気が回復し所得が増えれば、住宅価格が上昇するのは自然なことだ。しかし、現在の世界的な住宅相場過熱は不況を防ぐための低金利政策が派生したものにすぎない。金融危機以降、米国など世界各国は不況を防ぐために現金をばらまく政策を展開している。その結果、人類がいまだかつて経験したことがない「マイナス金利」時代を迎えた。市場に供給された巨額の資金が消費や投資ではなく、資産市場に流入し、新たなバブルを生んでいる格好だ。ニューヨークのダウ平均など主要株価指標が過去最高値を記録したのも低金利の力だ。狂った住宅価格は狂った低金利の副作用と言える。

 マイナス金利がさらにどれほどのバブルを生み出すかは現時点で分からない。しかし、バブルが際限なく拡大することはないという点は明らかだ。膨らんだバブルはいつか弾け、経済を破局に追い込むだろう。東京の土地を売れば、米全土を買えると言われるほどバブルが膨らんだ日本の不動産市場は30年間に及ぶ長期低迷に入っている。リーマンショックはあっても住宅価格が高騰したシンガポール、香港では最近住宅が暴落している。中国の不動産市場も冷え込む兆しを見せている。韓国も不動産価格が上昇しているのは一部地域だけで、家計債務は急激に膨らんでいる。山が高ければ谷も深い。政策当局の慎重な対策が求められる。

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