小池百合子・東京都知事(64)が日本政界に旋風を巻き起こしている。小池知事は先月、政治・政界について学ぶ意思のある若者らを対象とした「政経塾」を立ち上げることを表明。読売新聞が24日に報じたところによると、この政経塾の会員募集に対し、全国から4000人の応募が殺到したという。小池知事側は、このうち500-1000人を選抜して今月30日に開講する予定だ。「小池チルドレン」を育成し、独自の勢力を形成するための布石ではないかと日本メディアは分析している。

 政経塾とは日本政界特有の次世代育成システムで、パナソニックの創業者、故・松下幸之助氏(1894-1989)が設立した4年制の松下政経塾が最も有名だ。小池知事の政経塾はそこまで本格的な組織ではなく、6か月間で月1回、6回ほど講義を受ける。それでも応募者が殺到したのは、小池知事の人気がそれだけ高いことを証明している。

 23日に行われた衆議院補欠選挙でも、小池知事の長年の側近だった若狭勝・前自民党議員(59)が小池知事の応援を得て圧勝した。若狭氏は遊説期間中、小池知事との連携をアピールし、当選直後も「小池知事のもとで生まれた流れを国政に取り入れたい」と述べた。

■突然の都知事選出馬、当選後は次々に問題提起

 小池知事は6月29日、所属する自民党の公認を得ずに突然、東京都知事選への出馬を表明。自民党は反発したが、世論は概ね小池支持だった。「女性政治家が声を上げたところ、自民党の主流の男性陣からいじめられている」という構図がかえって小池氏に有利に働いた。

 小池氏は1か月後、自民党の公認候補を破って都知事に当選し、就任後は二つの大きな問題に切り込んだ。築地水産市場の移転を電撃的に中断し、移転先の敷地(元ガス工場跡)から有害物質が検出されたことを暴露したのだ。さらに、外部の専門家に東京五輪の予算を点検させた上で、当初7000億円とされていた五輪予算が3兆円以上になる可能性があると公表した。日本社会は騒然となった。

 これらの問題提起はいずれも中央政府、都議会、東京都職員と何ら相談することなく突然行われた。主要メディアは「大衆を刺激する『劇場政治』だ」と冷ややかな反応を示したが、大衆は熱狂した。今月初めに実施された読売新聞の世論調査では、東京都民の80%以上が小池知事の都政を評価した。

■政界の「渡り鳥」

 小池知事は右翼色が濃い。「日本会議」「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」など右翼性向の強い議員の会のメンバーだ。東京都知事に当選した後、前任の知事が約束していた第二韓国人学校への敷地貸与を白紙化した。それでも能力を疑問視する声はほとんど聞かれない。小池知事は2003年、小泉政権のときに環境相として初入閣し、06年の第一次安倍内閣では防衛相に抜てきされた。自民党の党3役に女性として初めて選ばれ、自民党総裁選挙にも女性政治家として初めて出馬した。

 小池知事は「政界の渡り鳥」としても知られる。民放テレビ局のキャスターを経て、40歳で参議院選に日本新党から出馬して当選。その後、2002年に自民党に落ち着くまで、24年間で6回も党籍を変更した。安倍晋三首相が06年の第一次安倍政権で小池氏を防衛相に抜てきしたが、6年後の自民党総裁選挙(2012年)では小池氏は土壇場で別候補の支持に回った。

■都民は小池都知事に熱狂

 小池知事は5年前、雑誌のインタビューで「愛犬の名前は『そうちゃん』。『そう』は総理の『総』」と明かした。最終目標は総理官邸という話だ。専門家は「不可能な話ではない」との見方を示している。政治の世界で生き残るセンス、懸案を選り分ける目が卓越しているとの評価だ。 小池知事が近く「小池新党」を結成するのではないかとの話もある。自民党の党籍を捨てて新党を作る方法もあれば、自民党に籍を置いたまま独自勢力を構築するというやり方もある。朝日新聞・日本経済新聞は、「小池氏は政経塾で抜てきした人材を、来年の東京都議会選挙で自民党・民進党候補の『刺客』として大量に立候補させる可能性がある」と報じた。

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