大学生たちに時々、韓日関係について講義している。講義は次のような質問で始める。「日本は韓半島(朝鮮半島)の植民地支配について謝罪したと思いますか?」 手を挙げるのは1人か2人だけだ。それから、準備してきた資料を見せる。日本の歴代首相たちが植民支配について出した談話に盛り込まれている謝罪の言葉だ。1995年の村山談話から始まる。 「植民地支配と侵略によって(中略)多大の損害と苦痛を与えました。(中略)この歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします」。

 10年後、小泉首相も同様の談話を発表した。日本の韓半島強制占領(韓日併合)100年に当たる年に発表された菅直人首相の談話には次のような文言が盛り込まれた。「痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることは出来ないものです。(中略)多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明いたします」。

 1998年の韓日パートナーシップ共同宣言に盛り込まれた文言も似ている。しかし、ほかの談話と次元が違うと受け止められている。日本の謝罪を韓国が受け入れる内容が含まれているからだ。「(金大中〈キム・デジュン〉大統領は小渕恵三首相の)歴史認識の表明を真摯に受けとめ、これを評価すると同時に…(略)」。学生たちに「過去の帝国主義国家のうち、植民地支配を4回公式謝罪したのはこれだけだ」と説明する。日本を擁護しようというわけではなく、事実を伝えているのだ。そうした後で、あらためて日本の謝罪について考えを聞いてみる。半分くらいの手が挙がることもあるし、2-3人だけのこともある。

 手を挙げない学生たちは、だいたい「すぐに言葉を翻すじゃないか」と言う。事実だ。1953年の「日本の統治は韓国にとって良かった面もあった」という妄言をはじめ、日本の政治家の妄言・暴言が一年でも途切れたことがあっただろうか。慰安婦問題も同じだ。この問題に対して日本の官房長官が公式謝罪した河野談話が発表されてから24年過ぎた。一昨年には首相が再度謝罪した。その内容を読み上げても、学生の手はあまり挙がらない。「慰安婦は売春婦」というある日本人政治家の暴言が彼らの胸に突き刺さっているからだ。

 日本は韓国に対して「いったいいつまで謝罪と反省をしろというのか」と抗弁する。「公式発表を日本の本心として受け入れていないのか」「植民地支配とは無関係な子孫たちにまで謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」とも言う。韓国は日本の公式発表よりも、相次ぐ妄言に重きを置く。「妄言は公式謝罪に真摯(しんし)さがないという証拠」「被害者が許すまで謝罪をやめるな」ということだ。この堂々巡りが延々と続き、両国の政治家たちはそれを利用しようとしている。

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