平昌オリンピックをちょうど1年後に控え、先日その「テスト大会」ともなるフィギュアスケートの4大陸選手権が江原道の江陵で開催されたが、他国からこの大会のテレビ中継を見れば、韓国ではなく日本で開催されたと勘違いしたのではないだろうか。それは日本の男女の選手が上位に入ったからではなく、彼らを応援するため江陵にやって来た日本の団体客と、彼らが振る日本の国旗で会場が埋め尽くされたからだ。特に男子の羽生結弦選手が行った2回の競技の直後、リンクは日本人応援団が投げ込んだ花束やプレゼントで埋め尽くされてしまった。

 またこれとは別にリンクを取り囲む日本企業の広告も見る者を錯覚させただろう。中には韓国では事業をしていない日本のレンタカー会社、消費者金融、テレビ通販などの広告も目についた。日本語だけで書かれた広告もあった。スターのパワーはこれほどまでに大きいものだ。また日本最大の民放がこの大会をライブで中継した。日本ではライブだけでなく、すでに結果が分かっていても日中や週末、時には夜8時台のゴールデンタイムにも録画で中継されることがある。そのため日本企業はフィギュアのリンクに広告を出す。韓国では地上波では放映されず、スポーツ専門のケーブルテレビ番組で放映されただけだ。会場は韓国だが、この大会はまさに日本のためのものだった。

 平昌オリンピックの開会式をちょうど1年後に控えた今月9日、日本のNHKニュースは平昌オリンピックを特集で取り扱った。これは韓国KBS放送の特集にも劣らない内容だった。これに対してこの日、韓国のテレビ局各社による平昌オリンピックの取り扱いは、崔順実(チェ・スンシル)問題や口蹄疫(こうていえき)などの後だった。このように日本が平昌オリンピックに多大な関心を示すのは、メダルが期待される有力な人気選手が多いからだ。特に男女のフィギュアスケート、スキージャンプ、スピードスケートでは日本人選手の金メダルが期待されている。ちなみに同じ頃、スキージャンプのワールドカップが開催されていた平昌では、日本の高梨沙羅を応援するため会場は江陵と同じように日本の国旗が数多く振られていた。

 日本はかつて冬季オリンピックではメダルの常連国だったが、最近の大会は不振が続いていた。とりわけ2002年のソルトレーク大会と10年のバンクーバー大会で日本は金メダルを1個も取れなかった。そのため一時は国民の関心が弱まり政府の支援も減った。ところがここ最近、日本が開催国の韓国以上に平昌オリンピックに関心を示す理由は、2020年に東京で夏季オリンピックが開催されるからだ。隣国で開催される冬季大会からオリンピックへの関心を高め、その熱気を2年後の東京大会につなげようというのだ。

 韓国に住むある日本人が先週「日本のある企業から平昌オリンピックの団体チケットを買ってくれと頼まれている」と明かしてくれた。多くの日本人にとって北海道に行くのも平昌に行くのもさほど違いはない。日本ではここ数年、景気回復の兆しが見え、国を揺るがすような事件や事故も少なく、国民の間にスポーツに関心を示す余裕が出てきているという。そのため韓国が巨額を投じて開催するオリンピックに対しても日本の方が関心が高く、熱気に包まれているようだ。このように日本人が韓国に来て楽しんでくれればそれはそれでありがたいことだが、一方で開催を1年後に控えたホスト国の韓国で「そういえばオリンピックがあったな」程度にしか思われていないのは非常に残念だ。

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