文在寅(ムン・ジェイン)政権の初代外交・安保関連人事決定が迫っている中、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に同分野で中核的な役割を担っていた人々の去就が注目されている。特に、盧武鉉政権の外交・安保は「北東アジア・バランサー論」や「自主外交」などを強調、従来の韓米同盟を基軸にした他政権の政策とは異なる面を見せていたが、当時こうした路線で中心的な役割を担っていた人々が今回、どのような地位に就くかが注目されている。文在寅大統領は当時の人々を大統領選挙諮問団に入れて政権の青写真を描いてきたため、今回も相当数があらためて起用される可能性がある。

 文在寅大統領は15日現在、首相に内定している李洛淵(イ・ナギョン)氏との協議が必要な外交・国防部(省に相当)長官はもちろん、大統領府国家安保室長の傘下の第1次長・第2次長など外交・安保関連人事を決めていない。安保室長の人事遅延について、大統領府関係者は「国防・外交・安保・統一というあらゆる分野をすべて管轄できる人物を探して遅くなっている」と述べた。だがその一方では、一部の外交・国防部長官候補者が「国会聴聞会が負担になる」として、大統領府国家安保室を希望、人事が遅れているという話もある。外交・安保関連分野の政府高官を任せられるだけの人物のうち、1人のポストがどのように決まるかによって連鎖的に影響が出る可能性があるため外交・安保・経済関連分野では総合的な検討が必要で、人事が遅れている面もある。

 外交・安保関連分野では、「理念タイプ」と「専門家タイプ」をめぐって頭を痛めていることが分かった。盧武鉉政権時の「自主派」と「同盟派」の失敗を繰り返さないよう、「同盟派」が多い軍出身者グループと、官僚出身者・「自主派」性向の進歩(革新)系学者・社会運動出身者のグループを適切に配置する「左右のバランス」を取ろうと人事が遅れということだ。

 盧武鉉政権の中心人物のうち、最初に起用が決まったのは徐薫(ソ・フン)国家情報院院長候補だ。徐薫氏は国家情報院第3次長として2007年の第2次南北首脳会談を成功させた対北朝鮮専門家だ。徐薫氏が国家情報院第3次長だった時、海外担当の国家情報院第1次長だった李秀赫(イ・スヒョク)元6カ国協議首席代表は外交部長官候補の1人に挙げられている。2人は「理念タイプ」というよりは「専門家タイプ」だ。国家安保室長の有力候補である鄭義溶(チョン・ウィヨン)元駐ジュネーブ大使も外交官出身だ。

 これらの人物とは違い、盧武鉉元大統領の「コード人事」(盧大統領に迎合する人物が重用される人事)により外交・安保関連分野で実権を振るった人々もいる。文正仁(ムン・ジョンイン)延世大学名誉特任教授は当時、北東アジア時代委員長を務めた。だが、同教授はこの時、国家情報院院長に内定していたが、息子の韓国国籍放棄や兵役免除問題で起用されなかった。文正仁氏は現在、安保室長の有力候補として名前が挙がっている。与党の関係者は「国家安保室長の役割で外交を強調するなら鄭義溶氏が、統一を強調するなら文正仁氏が有力だ。国防を強調するなら軍出身者が起用されるだろう」と語った。文正仁氏はキム・ギジョン延世大学行政大学院長、チェ・ジョンゴン延世大学教授ら文在寅大統領と近い延世大学政治外交科グループの座長でもある。キム・ギジョン、チェ・ジョンゴンの両氏とも現政権の任期中、外交・安保関連分野で何らかの役割を任されるものと予想されている。

 盧武鉉政権時、いわゆる「自主派」に分類されていた朴善源(パク・ソンウォン)元統一外交安保戦略秘書官と徐柱錫(ソ・ジュソク)元統一外交安保首席も注目されている人物である。朴善源氏は徐薫氏と共に選挙対策委員会安保状況団を率い、今回は対米国特使団の一員になっている。徐柱錫氏は対中国特使団に合流した。朴善源氏は国家安保室第1次長に名前が挙がっており、徐柱錫氏は大統領府か国防部で「国防改革」関連業務を担うと見られているほか、国防部次官候補にも挙げられている。

 一方、丁世鉉(チョン・セヒョン)元統一部長官とイ・ジョンソク元統一部長官は金大中・盧武鉉政権の長官・次官出身者からなる「10年の力委員会」に参加、文在寅大統領に助言してきたが、まだ官僚起用の話は出ていない。しかし、両氏は現政権を陰で支える実力者としての役割を担うものと予想される。

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