先月31日に埼玉スタジアムで行われたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦第2戦の済州ユナイテッド対浦和レッズ戦で起きた乱闘事件に関連し、騒動の渦中にある済州のDF白棟圭(ペク・トンギュ)が、日本を訪れて直接謝罪する意向を示している。

 済州ユナイテッドの趙城煥(チョ・ソンファン)監督は、6日に行われた韓国FAカップ水原戦の前に、自ら口を開いた。「誤解を解いて誠意ある謝罪をすべき、と言っている」。趙監督が慎重に語り始めたのは、DF白棟圭の「訪日と謝罪」の件だった。

 趙監督は「浦和レッズとの試合で起きた乱闘事件について、白棟圭が自ら日本に行って心から謝罪したいとしている」と説明した。

 31日の試合は0-3で済州が敗れ、第1、2戦合計2-3で済州のACL敗退が決定。この日の試合の終盤、済州と浦和の選手同士が激しくぶつかり合って乱闘騒動に発展した。

 延長後半の終了間際、コーナーキックの際に浦和が時間稼ぎをしたため、済州の主将クォン・スンヒョンと浦和のズラタンが口論となった。このときベンチにいた白棟圭はチームメートが暴力を振るわれたと思い込み、ピッチに乱入してズラタンの隣にいた浦和のMF阿部勇樹に肘打ちした。白棟圭はその場で退場処分となった。

 この乱闘をめぐっては、アジア・サッカー連盟(AFC)の懲戒が予想されるなど、大きな騒動に発展している。日本側は、乱闘の引き金となったのは済州の方だと主張しているが、済州は浦和の選手らが非紳士的な方法で感情を刺激するなど原因を作ったとして関連資料を収集している。

 しかし明白なのは、白棟圭には乱闘の状況を悪化させる意図は全くなかったということだ。「白棟圭は両チームの選手が小競り合いになったと思い、ピッチに入って止めようとする過程で阿部に肘打ちしたように見える」というのが趙監督と済州側の説明だ。白棟圭も苦悩している。普段は悪口を全く言わない素直な選手として知られているのに、乱闘騒動の主犯と見なされているからだ。

 そこで白棟圭は思い切って決心した。自ら日本に行って謝罪の意思を伝えることにしたのだ。当初はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のメッセンジャーで謝罪するつもりだったが、それでは礼儀にもとると考えた。クラブ側によると、白棟圭は7日からの休暇を利用して訪日し、阿部に直接会って謝罪する方向だという。

 しかし浦和の選手も休暇に入っているため、阿部と会える方法を考えてもらうよう浦和のクラブ側に要請して返事を待っている状態だという。趙監督によると、乱闘事件では済州の選手たちが悔しい思いをしたが、白棟圭は理由はどうあれ自分が阿部に危害を加えたことについて誤解を解いて和解したいと言っているという。

 この「浦和乱闘事件」について、済州の選手団としては、一方的に加害者と見られて悔しい気持ちがあるのは確かだ。そのため現在、真相究明を進めている。そんな中で白棟圭が訪日して謝罪することが「あまりに低姿勢すぎる」と考えられる恐れもある。しかし白棟圭の誠意はただ一つだ。自分が取った行動に対してだけは先にきっぱりと謝罪し、和解の糸口をつかもうというわけだ。白棟圭の妻は在日韓国人で、白棟圭は妻と共に日本を訪れ、妻の通訳によって謝罪の意思を伝える予定だという。

 政治・歴史的に、誠意ある「謝罪」をめぐって摩擦の多い韓日関係。スポーツではそのような摩擦はやめようというのが、心の広い素直な青年・白棟圭の今回の行動なのだ。

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