韓国国防統合データセンター(DIDC)が昨年北朝鮮からサイバー攻撃を受けた際、A4用紙1500万枚相当分の機密情報を盗まれていた事実が1年過ぎた今になって明らかになった。奪われた情報の中には金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を殺害する「斬首作戦」とも言われる「作戦計画5015」など、2-3級の軍事機密が数多く含まれていた。斬首作戦は有事の際、米国の増援部隊が韓半島(朝鮮半島)に到着する前に特殊部隊やミサイルなどを使い、朝鮮人民軍の司令部を攻撃するものだが、その細かい内容が北朝鮮の手に渡ってしまったわけだ。これでは単なる衝撃どころか、これが本当に国であり、軍隊なのかとため息が出て当然だ。韓国国防部(省に相当)は否定しているが、韓国軍全体で10件もない1級の軍事機密全てを金正恩氏が直接目にしている可能性も排除できない。

 情報共有の次元で米軍から提供された機密資料や写真も今回全て流出したようだが、これも非常に深刻な問題だ。同盟国から提供された情報さえ管理できないという韓国国防部の実態が改めて明らかになったのだ。ただでさえ米国は敵国に軍事情報が流れることを極度に嫌うにもかかわらずだ。

 当初、国防部はこれらの作戦計画や米国から提供された情報の流出は否定していた。もちろんこの説明も最初から疑わしかった。宋永武(ソン・ヨンム)国防長官はここまで重大な事実を就任から2カ月が過ぎてやっと把握したそうだ。軍検察は今回の事件について、サイバー司令官ら26人の懲戒を依頼するだけですでに捜査を終わらせた。朝鮮人民軍で同じようなことが起これば言うまでもなく全員死刑だ。ところが韓国ではこの重大な事件も適当に終わらせている。今回も与党「共に民主党」の李哲熙(イ・チョルヒ)議員が追及していなければ、責任者たちは韓国社会の安保不感症を良いことに何の処罰も受けなかっただろう。

 これまで韓国軍では深刻な情報流出がさまざまな方面で起こってきたが、どれも単なる不注意や怠慢が原因だった。国の安全保障を米国に委ね、サラリーマンと何ら変わらない生活を送る韓国軍関係者のずさんな仕事ぶりは今やここまで落ち込んでしまったのだ。一方で先日国防次官が招集した対策会議では、作戦計画5015の全面見直しについては議論されなかったという。北朝鮮はこの作戦計画5015への対策を準備しているはずだが、韓国軍がその一部を見直すだけで終わらせてもよいものか疑問だ。

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