中国人警備員が14日、韓国人写真記者を集団暴行したのは中国当局の責任であることが明らかになっている。しかし、韓国政府は「民間業者」という表現を使って、中国をかばおうとしている様子だ。

 大統領府担当記者団は15日の声明で「今回の事態は韓国の言論の自由に対する暴挙だ。国賓随行団の一員として取材中の外国人記者の人権をこれ見よがしに踏みにじる行為に対して、中国政府は正式に謝罪し、徹底した真相解明を通じて責任者の刑事責任を強く問わなければならない」と述べた。この声明ではまた、「これは、中国国内の人権弾圧の現実を示す試金石ではないかと懸念している。国際新聞編集者協会(IPI)が対応に乗り出すよう要求する」ともしている。国際ジャーナリスト連盟(IFJ)も同日、「韓国の仲間たちと連帯し、中国当局に謝罪を要求する」と述べた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの日、北京で担当記者たちと会い、「今回は芳しくないこともあり、皆さん苦労が多かった。適切な措置があるのではないか」と語った。

 韓国大統領府と外交部(省に相当)は同日も記者会見などで「大韓貿易振興公社(KOTRA)が雇った民間業者」「民間警備会社」のような表現を繰り返した。しかし、最大野党「自由韓国党」のキム・ドウプ議員がKOTRAから提出を受けた「契約締結内容」によると、KOTRAは行事警備費用6万9600元(約120万円)を支払っただけで、警備会社の選定から警備員の配置・運用・管理などの行事計画はすべて中国当局の規定に基づいて主要人物警護業務をする「中国警衛センター」から決めていたことが分かった。写真記者を暴行した民間業者社員も指揮・監督権は中国警衛センターが持って現場を管理していた。

 だが、韓国国内のインターネット掲示板には、文在寅大統領の熱狂支持者(通称:ムンパ)を中心に「芸能人の写真を撮ろうと記者が立入禁止線を超えた」「KOTRAが雇用した警備員は危険人物と判断して暴行した」などの書き込みが多い。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に大統領府広報首席秘書官を務めたチョ・ギスク梨花女子大学教授はフェイスブックに「記者を装ったテロリストでないかどうか、どう見分けろというのか」と書いたが、これが問題になると、「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でニュースを知ったため、事実をきちんと把握できずに発言して物議を醸したことを謝罪します」と発言を撤回した。こうした主張を利用し、中国の環球時報は同日、「韓国のネットユーザーたちは(取材)ルールを守らない記者を非難している」と報道した。しかし、暴行現場を目撃した大統領府関係者は「写真記者は中国側から発行された取材許可証を持っており、写真撮影の原則に基づいてこれを提示して取材した」と話している。

 中国側はこの日も「謝罪」の意を表明しなかった。その代わり、韓国外交部が「中国外務省アジア局の陳海副局長が説明したところによると、緊急真相調査を要請したものの、事実関係の把握に時間がかかる模様だ」と説明した。外交部はまた、記者団に「中国外務省当局者は、中国外務省の代わりに、今回けがをした韓国人記者の方々に事件の経緯とは関係なく心からいわたりの気持ちを表する」というテキストメッセージを送った。この「事件の経緯とは関係なく」という言葉は、責任を認めないという意味だ。

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