▲産業1部=アン・ジュンホ記者

 2011年の福島原発事故後、「原発ゼロ」を宣言して全国各地で原発の稼働を中止していた日本が、原発稼働を再び増やすことにした。日本政府は第5次エネルギー基本計画の骨子案で、現在、全電力供給の約2%である原発の割合を2030年までに20-22%へと大幅に増やすことを決めた。日本が原発の本格的な再稼働を決定したのは、電力不足に加えて原発に代わる液化天然ガス(LNG)などの発電コストが急上昇しているためだ。

 事実、国際市場におけるブレント原油は5月16日に1バレル79.28ドル(約8780円)、ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は1バレル71.49ドル(約7920円)で、この3年間で最も高い価格で取引されている。原油価格と連動しているLNGや発電用有煙炭の価格も急騰している。2016年に1トン当たり66.03ドル(約7310円)だった有煙炭の価格は今年1月108.35ドル(約1万2000円)まで上昇した。

 韓国最大の公企業である韓国電力が5年半ぶりに2四半期連続で赤字を記録したのも、こうした状況で起こったものだ。電気料金はそのままなのにLNGや有煙炭など燃料費が高騰、発電にかかる費用が昨年1-3月期に比べて2兆ウォン(約2000億円)以上増えたためだ。何よりも政府の脱原発政策で安価な原子力発電の代わりに高価なLNG・石炭発電が急増したことが直撃弾となった。

 韓国電力は4月30日、米証券取引委員会に提出した報告書で、「政府のエネルギー転換政策に基づいて原発の割合を引き下げ、新規原発建設の白紙化などが履行される予定だが、これは財務状態に否定的な影響を与える可能性がある」と述べた。脱原発政策の余波で経営改善が望みがたくなったことを明らかにしたのだ。

 しかし、産業通商資源部(省に相当)のエネルギー転換情報センター公式サイト(www.etrans.go.kr)に入ってみると、「(脱原発で)電気料金は急騰しない。料金引き上げ要因は発生するが、約10.9%程度で大きくはならない見通しだ」と書かれている。だが、「燃料費と物価要因を除いての見込み」というただし書きが付けられている。

 そうした中、来年度の国際原油価格が1バレル平均100ドル(約1万1000円)に達するとの見通しも出ている。それだけエネルギー発電コストの上昇傾向が顕著なのだ。政府は、韓国のように脱原発と再生可能エネルギーの拡大を推進したオーストラリアで電気料金が高騰したことについて、「内需LNG価格が大幅に上昇したが主因」と説明した。これは原子力発電に代わるLNG発電コストの増加が電気料金値上げの主犯であることを自ら認めたものだ。政府はこのサイトで、「古くからの原発依存国である日本でも原発の割合を大幅に縮小中」と書いている。

 脱原発に伴うLNG・石炭発電の増加と燃料費上昇による発電コスト増加が、電気料金引き上げと韓国電力の経営悪化を招いているのに、政府はこれを隠そうと汲々(きゅうきゅう)としている。国民の目は節穴ではない。

産業1部=アン・ジュンホ記者

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