野球の宣銅烈(ソン・ドンヨル)前韓国代表監督が証人として出席した10日、国会文化体育観光委員会の国政監査場。国会議員たちは「韓国野球界の伝説」を前に、的外れな質問ばかり浴びせた。同じ日、政務委員会の国政監査場にはベンガル猫が鉄格子の中に閉じ込められたまま「動物証人」として出席、石臼と液体のおもちゃも登場した。

 1年に1回行われる「国政監査ショー」で、何とかしてカメラの注目を集めようとする議員たちの「あがき」だ。それでも、猫や石臼は人の言うことが分からないので、宣銅烈氏よりはましな立場だったかもしれない。

 「国宝投手」宣銅烈氏は、特定の球団の請託により兵役問題が解決していない選手をわざわざ今年のジャカルタ・アジア大会の韓国代表に選んだとの疑いで、ソウル・汝矣島の国会まで呼び出された。しかし、同氏の前で具体的な選手選抜規定を質問した入り、証拠を出したりした議員は1人もいなかった。デザインを専攻した30代の比例代表選出議員がテレビのクイズ番組のように「A選手とB選手のどちらか選んで」と問いかけ、広報の経歴が長い60代の議員は「我々は野球の専門家だ」と言って成績ではなく監督の年俸2億ウォン(約2000万円)を問題視した。その上、「優勝したからってそれがどうした」という言葉まで口にし、アジア大会で奮闘した選手たちの努力を台無しにした。

 国政監査は、国会議員が国家機関の行政を定期的に監視し、批判する場だ。いくら野球の韓国代表チームに対する非難が相次いだとは言っても、明確な証拠もない状態で、韓国代表監督が国政監査の証言台に立ったのは、世界でもほとんど例を見ない出来事だろう。

 ドイツは今年のサッカー・ワールドカップ・ロシア大会で同国史上初のグループ・リーグ敗退という屈辱をなめ、国民から非難を浴びた。しかし、ドイツ代表のヨアヒム・レーヴ監督に向かって「なぜあんな選手たちを選んだのか」と怒鳴りつける政治家はいなかった。選手選抜と起用は監督の固有の権限だ。監督は結果に応じた責任を取ればいい。

 宣銅烈氏は40年以上も野球一筋という韓国野球の「国宝」だ。その人物が国政監査の場に立ったこと自体に多くの関心が寄せられた。宣銅烈氏を国政監査の場に立たせた国会議員は、おそらくその関心が自分に対して注がれているもののように勘違いして意気揚々としていたかもしれない。

 ところが、宣銅烈氏を国政監査の場に立たせた国会議員たちが国民の前で披露したのは、野球の専門家や国民の代理人が浴びせる鋭い質問ではなかった。「野球音痴」たちが犯しがちな無知さ加減をさらけ出すばかりだった。

 その姿を見ながら情けなさを感じたのは記者だけだっただろうか。平昌冬季五輪を前に世論の反対を押し切って南北合同チームを無理やり結成したように、スポーツを政治の道具にしようとする世の流れが「野球の国宝」までもベンガル猫と同じ扱いにしてしまったのだ。宣銅烈氏は「韓国代表監督が国政監査の場に立つのは、私が最初で最後になるように切に願う」と訴えた。2018年10月10日は韓国野球の「球恥日」として刻まなければならない。

スポーツ部=ヤン・ジヘ記者

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