全てのバブルはこれまで例外なく弾けてきた。株式市場では弾けることが多いが、不動産市場で弾ければその威力は巨大だ。バブルが借金となったとき、その威力は想像を超える。

 2008年の米国発金融危機は、韓国式に言えば中産階級を対象とした住宅担保ローンが発端だった。低金利で住宅価格の100%以上を貸し付けるという誘惑に我も我もと家を買い、不動産ブームが起きた。06年初めにピークを迎えた米国の住宅価格は12年初めまでの物価上昇分を考慮しても約36%下落した。1930年代の大恐慌時の下落幅(26%)を上回るものだ。

 1990年代初めの日本のケースはさらに残酷だ。85年のプラザ合意で円の価値が約2倍になると、景気低迷を懸念した日本政府は政策金利を5%から2.5%に引き下げた。低金利で円資金が好きなだけ借りられるようになると、国内外で不動産購入ブームが起きた。1990年には東京の住宅価格が5年で2.4倍になった。しかし、5年後の住宅価格は約30%下落し、10年後には半分になった。

 韓国にも同様のケースがあった。至近なのは2006年の不動産バブルだ。当時は銀行が経営規模を拡大するために競争し、住宅担保ローンを大幅に増やしたことが禍根だった。ちょうど地域均衡開発ブームまで重なり、不動産の狂風が吹いた。首都圏の住宅価格は06年だけで20%以上上昇し、江南、果川などでは30%以上も値上がりした。

 政府は住宅価格安定に向け、分譲価格上限制、不動産総合課税、譲渡税の課税強化、ローン抑制といったあらゆる規制手段を動員した。しかし、住宅価格は上昇を続け、結局は利上げと08年の世界的な金融危機で終息した。不動産ブーム以前に8億ウォン前後だったソウル江南区道谷洞の面積85平方メートルのマンションは、19億ウォンまで高騰したが、バブル崩壊で12年には再び9億ウォンまで下落した。

 これらのケースを見れば共通点がある。いずれも実需要よりも低金利に幻惑され、借金をして家を買った結果だ。バブルが崩壊すれば、例外なくやってくるのが深刻な不況だ。米国のバブル崩壊は世界的な金融危機につながり、日本は「失われた20年」の出発点になった。韓国も米国、日本ほどではないにせよ、厳しい試練を経験した。08年以降、住宅売買が途絶え、売れ残り物件が16万戸を超え、建設会社が連鎖倒産した。建設市場が冷え込み、庶民層の景気から冷え込んでいった。

 韓国は人口構造上、過去のような住宅価格上昇を期待するのは難しい。既に住宅購入年齢の30-40代の人口が2008年にピークを迎え、現在は年間20万人余りずつ減少しているのだから、住宅需要が伸びるはずはない。ところが、昨年から再び不動産ブームが起きた。低金利に酔って急増した家計向け融資がきっかけだった。06年と似た典型的なバブル現象だ。残念だが最終的には弾ける運命だ。利上げではなく、強力な規制によって市場をまひさせたため、今後はハードランディングが避けられないとみられる。

 問題はバブルが弾けた後だ。今回の不動産ハードランディングの威力は以前よりもはるかに大きいだろう。今後利上げを実施しなければならないが、既に家計と自営業者、不動産業界を中心に多額の負債が存在する。雇用も減少が見込まれ、内需が改善する可能性はほとんどない。

 輸出も楽観できない。半導体、石油化学など主力産業の輸出はいつまで好況が続くか分からない。欧米経済が今年よりも上向くとは考えにくく、特に中国のリスク要因、すなわち国内総生産(GDP)の160%を超える企業債務問題や不動産バブルが弾ければ、影響は計り知れない。中国は米国の利上げと貿易圧力で苦痛を経験しており、その苦痛は韓国にも黄砂のように飛来するはずだ。

 不動産発の寒波が見込まれる中、輸出まで低迷し、人口減まで重なれば、経済はどうなるのか。深刻な状況は避けられないだろう。問題はこれといった対策がないことだ。経済はタイムリーに対処しなければ、不幸は一気に押し寄せる。現在韓国はそうした局面にある。こんな時だからこそ、企業経営者が活発に動くべきだが、「韓国を離れたい」という声ばかりが高まっている。現在韓国社会で躍動感があふれているのは労組だけだ。労働界が自制せずに市民団体が理念だけにこだわれば、本当に厳しい寒さが訪れることになる。

金大棋(キム・デギ)元青瓦台政策局長・檀国大招聘教授

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