中国の軍用機が昨年、韓国の防空識別圏に約140回無断進入していたという。2017年までは主に韓中日の防空識別圏が重なる地域に無断で進入していたが、昨年は黒山島や鬱陵島近くの純粋な韓国防空識別圏まで入ってきた。防空識別圏は領空ではないが、軍事目的のために進入する際は当該国の許可を得るのが慣例だ。中国はこれを無視している。

 中国の軍用機は毎月末になると定例訓練でもするかのように東海(日本名:日本海)に出入りする。いったい中国が鬱陵島まで飛行してくる理由とは何なのだろうか。中国はこれまで韓半島(朝鮮半島)を自国の影響圏に置くという戦略を変えたことがない。習近平国家主席は以前、トランプ米大統領に「朝鮮半島は歴史的に見て中国の一部だった」という歴史観を披露した人物だ。今でも、強く対応しなければ中国はより露骨に韓国の主権を侵害してくる可能性が高い。それでも現政権は異常なほど中国に自らの声を上げない。軍用機が約140回も無断で進入したのに、中国国防省に正式に抗議したり、在韓中国大使を呼び出して問いただしたりしたことはなく、中国の武官を呼び出す程度にとどまっている。それどころか、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備では「THAADの追加配備をしない」「米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない」「日米韓安保協力は軍事同盟に発展しない」という「三不原則」で主権譲歩までしてしまった。

 その一方で日本とのもめ事では妥協する気配すらない。韓日間の「レーダー照射・威嚇飛行」問題で今年上半期に予定されていた両国軍(原文ママ)の将校級交流が延期されたと朝日新聞は1日、報じた。その他の軍事交流も次々と取り消されている。空軍出身の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部(省に相当)長官は日本の自衛隊哨戒機が低空飛行で韓国軍艦を威嚇した後、パイロットのジャンパーを着て海軍作戦司令部を訪れて強く対応するよう指示した。しかし、中国の軍用機が出入りするたびに緊急出動する韓国空軍部隊を訪れたという話は聞こえてこない。

 トランプ大統領は2回目の米朝首脳会談日程を「来週初めに発表するだろう」と明らかにした。韓半島情勢はどのように動くか分からない状況だ。安保の不確実性が高まっている時は、従来の安全弁をしっかりと機能させることが重要だ。それでも韓国政府は日本が「主敵」であるかのように扱い、「北朝鮮の後ろ盾」を自任する中国については何をされようと目をそらそうとしている。

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