文大統領や政府の政策を批判するポスターを掲示した大学生団体に対し、警察が捜査を行っているという。ポスターが発見された地域では多くの警察官が動員され、学生の自宅などに令状なしに無断で入り込み、監視カメラや納税記録を調べるなど個人情報を確保しているようだ。ある警察官は大学生に電話をかけ「あなたの自宅を知っている」「今すぐ逮捕しに行ける」などと脅したかと思えば、「ポスターを貼ったら国家保安法違反だ」などとまで言ったという。警察によるこのような行動はそれだけで犯罪行為だ。これがいわゆる民主化運動を行ったという政権が自らの行動で示す「民主主義」あるいは「人権」なのか。

 問題のポスターはエープリルフール当日の今月1日、大学や国会、大法院(最高裁に相当)などに貼られていた。「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の手紙」をまねする形で「所得主導成長」「脱原発」「大気汚染問題」「対北朝鮮政策」など、今の政府が進める間違った政策を風刺したものだった。例えば「平和、環境に優しい、人権、市民など、美しい言葉を使いつつ、その一方では相手を無条件で野蛮、積弊、親日にレッテル貼りせよ」と書いてあった。今の政権のやり方を皮肉ったものだ。「南朝鮮国軍は無力化し、メディアは完全に掌握されたので、積弊勢力を守る最後のとりでである三権分立の崩壊も間近だ」という内容もあった。誇張はされているが、この国の今の現状を正確に指摘した部分もあるだろう。

 捜査は犯罪行為に対して行うべきものだ。警察は当初「国家保安法違反」としていたが、これが風刺と分かると、今度は大統領に対する名誉毀損(きそん)や侮辱罪の適用を検討しているという。政府の政策に対する批判がなぜ名誉毀損や侮辱になるのか。警察は「屋外広告の違法設置」との見方も示したという。どんな口実を使ってでも処罰するということだ。現政権では「事実」を口にした場合でも、それが政権の気に入らなければ処罰を受けてしまうのだ。

 現政権による大統領選挙での世論捏造(ねつぞう)事件が発覚した際、警察は重要参考人の携帯電話さえ押収しなかった。事実上の政権擁護あるいは弁護をしながら証拠隠滅を助けたのだ。全国民主労働組合総連盟(民労総)が官公署を22回も無断で占拠したときも、警察は傍観し、現場で容疑者が連行されたのはたった4回しかなかったという。民労総が市民を血だらけになるまで暴行し、しかもそれが警察署で行われたときでさえ警察は何もしなかった。民労総は警察の取り調べを受けて出てくると、その警察署で記念写真を撮影した。ところが大学生が政権を批判すると警察はそれを力ずくで押さえ込み、民間人に対しては査察や無断家宅侵入を行っては「逮捕する」と平気で口にする。理解できないのは、彼らは何かあると口ではすぐ「民主化運動をやってきた」と自慢ばかりすることだ。

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