アフリカ豚コレラ(ASF)が発生した農家などで行われている殺処分について、動物保護団体が「防疫現場はウイルス防除ではなく拡散の主犯であって、動物たちのホロコースト」と主張した。

 動物保護団体のCAREと韓国動物保護連合(KAAP)は26日午前、ソウルの光化門広場で記者会見を開き「京畿道坡州市と漣川郡、金浦市などアフリカ豚コレラ発生農家の殺処分現場を確認した結果、二酸化炭素ガスで麻酔をかける過程で相当数のブタが再び目を覚まし、意識のある状態で生き埋めされた」と主張した。

 記者会見の出席者らは「残忍な生き埋め殺処分を中止せよ」「豚コレラ拡散の農食品部(農林畜産食品部、省に相当)は責任を取れ」「政府はアフリカ豚コレラの根本対策を整備せよ」などのスローガンを叫んだ。

 また出席者らは「現政権は農食品部内に動物防疫局を新設し、専門的な防疫システムでウイルス防除へ効果的に対処したいと言っていたが、実際の現場は外部業者に管理・監督なく任せきりにして緊急行動指針(SOP)を順守しなかった」「外部業者に任せるだけで管理・監督が不十分という点で、現政権はアフリカ豚コレラに対する危機意識をきちんと反映できていない」と批判した。

 これらの団体によると、外部業者の主導で殺処分が行われたことにより二酸化炭素ガスの濃度や量をきちんと合わせられず、殺処分の過程にはSOPの基準より10倍から20倍以上も手間がかかっている。さらに、発生農家のブタが生きている状態でもがいたら鈍器でなぐったり凶器で刺したりするため、ブタが暴れ回るという状況まで出現したという。それでウイルス拡散の危険性が高まり、動物保護法違反の疑いもあるという。

 CAREとKAAPは「形式的な防疫にとどまっており、アフリカ豚コレラの全国的発生は時間の問題と言わざるを得ない」「窒素ガスや電気ショックなどで速やかに防疫することを2011年の口蹄疫(こうていえき)のときから要求しているが、受け入れてもらえない」と指摘した。

 さらに動物保護団体は、韓国政府および自治体がブタの違法な「生き埋め殺処分」を中止し、法とマニュアルに基づく殺処分を進めることを求めた。可能な範囲で薬物を活用した安楽死も要求した。記者会見を終えた後、生き埋め殺処分中止を求める抗議の書簡を首相室と青瓦台(韓国大統領府)に届けた。

 アフリカ豚コレラは今月18日、坡州市の養豚農家で韓国初の確定判定が出た。その後、26日までに漣川郡、金浦市、仁川・江華郡などの合わせて七つの農家で発生した。さらに漣川郡と揚州市、江華郡の3カ所に、新たな発病が疑われる農家もある。現在までにブタおよそ2万頭が殺処分された。

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