「2028年に開催される米ロサンゼルス五輪の競技場で、人種差別と白人至上主義の象徴である『南部連合旗』を振ったとしたら、果たして全世界が納得するでしょうか」

 今月8日、ソウル市内にあるコリアナ・ホテルの会議室。国際学術会議「サンフランシスコ体制を越えて」に出席したアレクシス・ダデン米コネチカット大学教授(50)が本紙のインタビューで語った言葉だ。ダデン教授は先日、英ガーディアン紙に「来年の東京五輪で日本の旭日旗を禁止しなければならない」というコラムを掲載し話題を集めた。「南部連合旗」は19世紀の米国の南北戦争時、奴隷制度に賛成していた南部地域の旗だ。2015年の黒人教会銃乱射事件で、白人人種主義者の犯人がホームページに南部連合旗の写真を掲載して以降、米国内で排除の動きが強まっている。

 ダデン教授は「米国の人種主義者と日本の極右勢力は、奴隷制や慰安婦強制動員といった歴史的事実を否定したり、歪曲(わいきょく)したりするという共通点がある。そうした点で、彼らは『歴史否定論者(denialists)』だ」と言った。また、「平和の祭典である五輪で、第二次世界大戦時における日本帝国主義の侵略戦争を象徴していた旭日旗を振るのは、韓国だけでなくほかの被害国にも傷を与える政治的行為だ」「中国・シンガポール・フィリピン・ミャンマーなどで五輪ボイコットの動きが広がる前に、国際オリンピック委員会(IOC)が旭日旗を禁止しなければならない」と述べた。

 ダデン教授は2015年に安倍晋三首相の歴史認識を批判する世界の歴史学者たちの共同声明を主導、同年「万海平和大賞」を受賞した知韓派の学者だ。和田春樹・東京大学名誉教授、李泰鎮(イ・テジン)ソウル大学名誉教授など、当時声明に参加した学者たちは歴史認識の共通基盤を確認するため、翌年から毎年、国際学術会議を開いており、今年は4回目の会議が韓国で開催された。ダデン教授も8日と9日に行われた今年の会議で、司会・発表・討論者の「1人3役」を務めた。同教授は1986年に日本に滞在して日本語を学んだ。1989年には初めて訪韓し、釜山・慶州・ソウルなどを旅行、1994年に延世大学語学堂で韓国語の勉強を始めた。現在は米国の大学での講義時間に、学生たちに対して独立運動家・詩人だった韓竜雲(ハン・ヨンウン)=号・万海=の詩を聞かせている。

 ダデン教授は今年の会議で、「東アジア同盟国間の確執 米国の汚れた秘密(America’s dirty secret)」をテーマに発表した。「韓日関係が最悪の方向に向かっている裏には、米国の責任が少なからずある」という自己批判的な主張だ。米国は北東アジアの安全保障や経済で韓日両国を最優先の同盟国として認識しながらも、歴史問題では「当事国同士が判断して解決する問題だ」として傍観する姿勢を見せているということだ。

 また、ダデン教授は戦後の米国の外交政策において、日本の利害関係を優先視する「偏愛現象(favoritism)」が存在したと批判した。そして、「米国が日本の高官や企業といった強者の言葉だけに耳を傾けるとすれば、強制動員被害者のような弱者の声が耳に入るだろうか?」と反問した。

 ダデン教授は1960年代の黒人人権運動以降、米国は自国内では「被害者優先主義」を強調しながらも、国際問題では現実主義に走る傾向があることも懸念している。

 「冷静な国際関係で過度に理想的なアプローチをしているのではないか」という質問に、ダデン教授は次の通り答えた。「国際法こそ国家間の鋭い確執を調整するための理想主義の産物だ。国際人権問題ではこの20年間、そうした傾向が強まっている。歴史問題に目をつぶる日本こそ、その例外ではないだろうか」

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